姉妹3人が、私たちの到着を待っていてくれました。
つまり、基本的には、出来るだけ多くの人と、この家族の苦しみを分かち合う、この苦しみを分かってあげるということではないのでしょうか。そう思いました。
この家庭を少し説明しておきます。
父親のドー・ヴァン・ギーさんは1943年に生まれて、昨2007年に亡くなられています。クアンチ戦場で、2年間戦ったそうです。いつ頃からかわかりませんが、枯れ葉剤の症状が出ていたようです。肝臓病。糖尿病。高血圧。ギーさんは、突然亡くなったそうです。「父とテレビをみていて、突然死んでしまいました」と、長女のトゥイさんは言いました。
母親のロー・ティ・ガイ(Thi Ngai)さんは、ご主人と同じ1943年に生まれて、1999年に死亡されています。
両親に先立たれて、残された女系家族は一層大変になりました。5人兄弟姉妹の中で、2人が第二世代の先天性の障害者として誕生していたからです。
長女は、ドー・ティ・トゥイ(Do Thi Thuy)さんです。1970年生まれ。主婦。子ども2人。トゥイさんは体が強い方ではありません。そして、背骨に余分な骨があるそうです。
トゥイさんの子どもの足にも余分な骨があることが、X線撮影でわかったのです。この家族では、枯れ葉剤の被害は第三世代にまで及んでいるようです。天気の変わり目には、背骨が傷む。ご主人は、建築関係の労働者で、なんとか生活費を稼いでいる貧しい家です。トゥイさんの下に3女、4女の健常者がいます。
障害の二人は、次女のドー・ティ・マイ(Do Thi Mai)さんです。1972年生まれで、すでに37歳になります。耳は少し聞こえ、ほんの少しだけ話せます。手と足を使って、何とか移動しますから大変です。
もう一人は、長男のドー・ヴァン・ミン(Do Van Minh)さんです。1976年生まれの33歳。ミンさんは、耳も聞こえませんし、話しも出来ません。それに歩行困難です。全く歩けません。
夜は、おしっこをさせてから、隣に住むトゥイさんの家につれていきます。
「寝られない時は、季節にもよりますが、二人とも夜から朝まで音を出します。弟の方は、天気の変わり目などには、大声を出します。どうしようもないので、そのままにしておきます」と、長女は言います。
長女のトゥイさんは、こう言いました。
「妹と弟の面倒をみるために、午前中2時間ほど、午後も2時間ほど家に帰らなくてはならないので、長時間畑仕事をすることは出来ません」
それでも、田植えや稲刈りの中心は、長女トゥイさんだそうです。
「畠は2000平米。収穫量は食べるだけはあります。農業からのあがりで食べるものを引けば、10万ドンくらいしか残りません。病気になったら、おカネはなくなります」「親戚も誰もいません。農業は労働者を借ります。近所に手伝ってもらうことはありません」
4女のマンさんが、こう言いました。「一番上の姉が、一番苦労しています。姉は病気を抱えています。腰も痛めています」彼女は泣き崩れました。
3人姉妹と二人の障害者は、私たちを待っていてくれました。タイビン省の枯葉剤被害者協会が、事前に届けてくれて、子豚2頭は、金網の籠に入っていました。私たちに見せようとしてくれていたのでした。なんと律儀な。
トゥイさんに聞きました。
「牛と豚とどっちがよかったですか?」
「牛の世話をするのは人手も時間も大変ですので、豚の方がいいです」
「餌はどうするのですか?」
「一家が食べた残りをあげます」
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