23日2軒目の在宅訪問は、ファム・クアン・トアンさん宅だ。表通りから自宅までの距離は100メートル以上。安全そうで、道も悪くない。この条件がかなっているだけでも、私たちは嬉しくなる。
早速車椅子を贈呈して、長男のファム・ヴァンクアン君を乗せて、お父さんに押してもらった。17歳。生まれつき精神障害をもった子だ。
外にでると気分良さそうだった。クアン君はご機嫌だった。
クアン君が使っている安全ベルトは、大釜会長夫妻のお手製なのだ。大変な労力を伴った力作である。中古のミシンまで買って、夫妻で縫ってくれたものである。
物を贈呈することは簡単だ。こういう人の気づかないところに配慮できるのが、小さい団体の特技である、と自負している。
トアンさん。50歳。トアンさんの軍歴は、1977年に入隊して訓練を受け、その後82年までクアンチ省に砲兵として駐屯した。所謂ベトナム戦争終了後に、かつての激戦地で軍務を果たしたのだ。だから戦闘は全く経験していなかったはずだ。
トアンさんの記憶は、6年くらい前から薄れ始めているようだと、奥さんは言う。
自宅に戻って、まず長女のファム・ティ・ルオンさん(21歳)に、補聴器を差し上げた。生まれつきの聾唖者である。
タインさんが呼び掛けた瞬間、ものすごく大きな声で「聞こえるぅ」。
後ろにいた母親のフオンさんが、本人以上に喜んだ。元気そうな働き者のお母さんの丸い笑顔だった。
次に、次女のファム・ティ・ハンちゃん(8歳)に補聴器を。特殊学校に通っている。生後25日目に、白血病と診断された、という。月1回、タイビン省の総合病院に通院している。
この8歳のハンちゃんが、実に礼儀正しいのだ。 白血病のことを聞きに再訪を約束した。
右手を腰のところに持ってきて、頭を下げた。
両親の心の中の姿勢を拝見させてもらったような気がして、私は勉強になった。
貧しさの中ではすべてが許されるかも知れない。しかし、それでも子ども達に感謝とか御礼という文化を残していこうと両親が心がけていたら、ほんとうに尊敬に値する。
左は、衣類を贈呈する歌手の中村洋子さん。
トアンさんの農家では、1500平米の畠を切り盛りしているが、1毛作で米が900キロとれても足りない。親せきや銀行からも借金をする状態だ。
もうすぐ刈り取りの季節がやってくる。豊作を期待したい。
トアン宅には、カスケード・ポンプの設置を援助させて頂いた。
お父さんのトアンさんは、現在枯葉剤被害者認定の申請中だと聞いた。
トアン家に何とか”幸”が訪れないものか・・私たち一行の誰もが強く思った。
2007-09-07
登録:
コメントの投稿 (Atom)
0 件のコメント:
コメントを投稿