2008-10-18

支援隊ツアー08(21)新谷文子の”体を動かそう”Ⅲ

8月26日 不意打ちという言葉ある。ベトナムを旅していると、ほんとに先が読めないことがある。実は、前日の夜、歌を歌って交流が終わる頃、26日の早朝に訪問して、音楽療法をすることになっていたニョー・クアン郡の小学校には、明日行けない・・という情報が入ってきた。理由は、「この3月下旬に、フランスのキリスト教ミッションが入ってきて、お金を撒いた。外国人は立ち入り禁止区域になった」のだ。3月の話が、なんで8月25日の夜に伝えなければならないのだ・・と言ってみてところで、共産国家の一省が決めたこと。どうにもならない。
どうすればいいのだ?と、問い返そうかと思っているうちに、誰が考えたか代案は用意されていた。イエンモー郡の小学校はどうか・・という。「ただ、音楽は出来るかどうかわからない」という答えだった。
ビンさんらが残ってくれて、夜の9時から郡の役場との交渉が始まった。やがて、音楽療法は出来るようにしましょう・・という方向に進み始めた。
そして、私たちは、26日の朝6時半にバスで出発した。目指すは、イエンモー郡イエンドンA小学校だ。受け入れてくれた郡人民委員会には、ひたすら感謝である。

ここで、音楽療法と眼科の検診を行うことになった。学校名は「イエンドンA小学校」。なぜAなのか? BとCがあるからだ。1箇所の校舎に収容できず、3箇所に分かれている。A小学校には、240人が通っている。ヴー・ミン・ファム郡人民委員会副委員長と、ファム・ティ・トア校長に迎えられての”登校”だった。

「ご来校下さりありがとうございました。仕事がうまくいくように祈っています。イエンドンは、ニンビン省でも最も田舎の郡で、貧乏で生活は大変な所です。」というご挨拶を頂き、恐縮した。去年開校したばかりの小学校だそうだ。

「この小学校に関心を寄せて下さり、ありがとうございました。目の検査もして下さるそうで、病院に行かない人が多いので、出来るだけ多くの生徒を検診していただければ・・と願っています」と、女性校長のトアさんは言った。

みな、可愛かった。ほんとうに。

「そんなのできないよぉ!」

貧しいに違いない。着る物を見れば、わかる。でも、目が輝いている。心が純真だ。汚れていない。小さいときの貧乏は、貴重な経験だ。この貧乏が、大きくなってから生かせるような社会であれば、いいと思う。

音楽療法士の新谷さんの指導で始まった体操は、子ども達の未経験の動きばかり。その驚きと喜びが顔に出ている。

ベルの代わり。各時間の始業と終業には、この太鼓を叩いて知らせる。
新谷さんから聞いたことがある。「音楽療法は、障害をもった子どものほうがノリがいいんです」と。
「音楽療法の勉強中に学んだ事ですが、音楽療法学会の理事の方々(医者・心理学者・音楽科など)は『分析できないが、健常者と違って身体全身で独特のリズムを感じて、個々の本能で表現できる才能を誰もが持ち備えている。どうしてそれが音楽なのか???われわれ、音楽療法士は悩んで悩んで死んでいくのだ』と。『障害者の心の中まで入れないので回答は無いが、他の手法で彼らの秘めた才能を出しえるものは無いように思う』」とも。
この小学校は全員が健常者である。自分の経験したことのない動きに必死でついていこうする姿勢は、皆がもっている。


人間だから、好き嫌いもある。同じクラスで手をつながない子どももいる。そこにノリが相殺される部分がる。しかし、子どもの世界では、それが当たり前のことだ。

しかし、どの生徒の目も生きている。最後は、クール・ダウン。皆で校庭に大きな輪を作った。朝の40分、みっちり汗をかいて、音楽と体操と情操教育の時間は終わった。楽しそうに、みな教室に入っていった。

「ガップライ・ニャー」「また、会おうね」 Posted by Picasa

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