会合では、共同議長として、アメリカ側は研究開発局のケビン・テイクマン博士。ヴェトナム側は、資源環境省のレ・ケ・ソン博士(写真上左の人)が務めました。 テイクマン共同議長は、マサチュセッツ工科大学で理学士と科学士のディグリーをとっています。カリフォルニア大学バークレー校で博士号を取得しました。また、レ・ケ・ソン博士はロシアで毒物学の博士号をとりました。
3日間の会議で、議論はヴェトナムのエージェント・オレンジ汚染地区での改善作業の進捗状態と、両国の健康プロジェクトチームと、環境プロジェクトチームが行ったリハビリテーションが主要議題です。
冒頭に、ベトナムの資源環境省副大臣(写真下)が、エージェント・オレンジの被害者に対する資金拠出を早期に促進するようアメリカ側に迫まりました。「誰もが、ダイオキシンへの暴露が犠牲者の重大な苦しみの原因であるということを知っています」という表現で、グエン・スアン・クオン(資源環境省副大臣)が言いました。
ベトナム側はアメリカに対して、援助の速度は遅いとして、障害者援助資金の支払いの迅速化を求めたのです。
米軍は、北ベトナム軍から天蓋を奪うために、ジャングルにエージェント・オレンジを撒布したわけです。ヴェトナム側は、有毒剤撒布のため100万から400万の一般市民が重大な健康障害を起こした可能性があるとみている。この数は控えめな数字で、限りなく400万に近いか、それを超えていると思います市、また、400万を超えているというアメリカ側の数字もあります。
これまで、浄化作業は中部ヴェトナムの旧アメリカ軍基地のダナン空港に集中していました。ベトナム戦争中に、アメリカ軍がエージェント・オレンジを貯蔵し、混合し、飛行機に積み込んでいた場所ですね。
米越双方は、ダナン地域でエージェント・オレンジの構成成分で有毒性の強いダイオキシンの威力を抑えるための暫定的な対策しか講じてきていません。しかし、双方は、いま、土壌からダイオキシンを除去する方法を模索している。それが、先日の記事に書いた“バイオレメディエーション”です。
双方は、また、エージェント・オレンジ関連(していると思われる・・と書かないとアメリカ側は納得しないようです)の疾病をもったベトナム人障害者に対する疾病対策共同作業にも取り組んでいます。
浄化作戦と健康問題の費用がどのくらいかかるかは、明らかでありません。恐らく天文学的数字でしょう。それが、遅いアメリカの行動の原因の1つと見られます。
ベトナム政府の見積もりでは、ダナン空港とあと2箇所の最大汚染地域の浄化だけでも、5800万ドルがかかるということです。これまで、アメリカ政府は、エージェント・オレンジ関連する環境と健康問題の対策のために、わずか800万ドルを確保してきました。
非営利団体や世界各地の理解者からも、同様に寄付金が寄せられていますが、資金不足は明らかです。
カナダの環境コンサルタント企業(恐らくハットフィールド社と思われます)による研究では、重度汚染地区は7箇所あるとしていますが、ヴェトナム側の主張は、浄化に必要の箇所は12箇所にも及ぶとしています。
米復員軍人庁は、エージェント・オレンジに曝露し、その後種々のガンが発症した旧軍人にいろいろの恩恵を提供しています。しかし、アメリカ政府は、エージェント・オレンジと、撒布された地域に住むベトナム人が受けている種々の肉体的障害との関連性を理解するには、もっと多くの科学研究が必要だという主張を10年1日の如く繰り返しています。
ベトナム側は、「これだけの人的証拠があるのに、まだ科学研究が必要なのか」と、腹の底では思っています。
ベトナム側は、これまでも、エージェント・オレンジに曝露した兵士の多くの子どもが、恐ろしい先天性欠損症で生まれてきたのだと主張してきました。事実その通りです。
両国政府は、エージェント・オレンジに曝露した結果については意見が一致していませんが、その原因に関係なく、両国は障害を持つベトナム人を助けるために協働することには同意しました。
会議初日の9月8日、冒頭で、アメリカ側のマイケル・ミカラク駐越米大使(写真上)は、アメリカがダナン空港近くで障害をもった人々に対する3つの健康プロジェクトを実行し始めたと話したのは、それです。
「我々は口先だけではない。具体的なプロジェクトに一緒に取り組んでいる」と強調しました。
エージェント・オレンジは、ベトナム戦争で最も問題のある負の遺産です。
米越両国は枯れ葉剤の後遺症について長年にわたって意見をことにしてきましたが、両国は、枯れ葉剤と関連する問題に対処するために2006年になってやっと一緒に作業を始めました。
ダナンにおける共同調査では、ダイオキシン濃度が国際的に認められた限度より300~400倍高いことが明らかになりました。
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