呼吸の苦しさ。体の痛み。だるさを訴えていました。足の関節にも痛みが増しているようです。1年前までは、家の外を歩いていたグエンさんですが、「もう家の中しか歩きません」と言います。戸外へ出ることはほとんどなくなってしまったようです。トイレは戸外にありますが、家の中ですませるます。
体の痛みで、寝ては起き、寝手は起きの連続のようです。今服用しているのは、鎮痛剤のみで、1日2回(1回2錠から4錠)です。テレビも「ニュースくらいしかみません。他の番組は見る気もしません」と、力無い声で話す。
食欲も落ちて、お代わり出来ないこともあるようです。最近では、ご飯のお茶碗を持つのも精一杯の時も。シャワーも一人ではできなくなり、奥さんのタ・?ティ・ムイ(TaThiMui=1950年生まれ)さんに手伝ってもらいます。「体が痛む時はシャワーをいやがり、お湯を捨ててしまいます」と、奥さんは言いました。
野菜を売り歩いていた奥さんは、野菜売りをやめた。「野菜を売る元気もなくなりました。朝歯を磨いてあげて、ご飯を食べさせ、体が痛む時は、1日2回ほどマッサージをしてあげます」
グエンさんは、今年1月に病院に行ったのが最後です。「病院にいく元気がなくなりました。どこまで行っても同じ結果なので、もう行く気はありません」と、言った。
奥さんも「結果が同じなので、もうどこの病院にも行かせません。赤血球が減ったと言うので、手術はもう出来ないと病院では言われました」と話しています。
現在薬代は月に20万ドン近く。枯れ葉剤の手当は、月額59万3千ドンに増えました。が、収入はこれだけだといいます。「米は作っていますが、人を借りなくてはならない」といいます。
子どもが身近に住んでいるので、安心ではないかと思いましたが、そうではないようです。
「長男の嫁には子どもが出来たし、仕事をもっています。家を出るのは早く、帰りは遅いです」
敷地の中に、長男夫婦が住んでいます。次男が結婚して、母屋に同居し、グエンさんは、狭い部屋で寝ています。長女は結婚して子ども二人が出来ました。次女も結婚して、家を出ました。4-5キロ離れた所に住んでいます。3ヶ月前に女の子が生まれて、今のところ異常はない。ただ8ヶ月の早産(体重1.5キロ)だったそうです。
「病気が出ていなくてうれしかった。でもまだ心配です」と、グエンさんは言います。次女のカインさんは、すでにイボを発症しており、そのことを父親は心配しているのです。次女の義母は559部隊の出身であるだけに、父親のグエンさんは、「間違いなく、枯れ葉剤の影響を受けていると思います」という。
グエンさんは、赤血球の減少で、手術は不可能という判断が、今年1月に地元病院で下されたそうです。私たちもそれを聞いて、グエンさんの手術は諦めざるをなくなりました。
地元の退役軍人協会のブイ・フイ・ディオ(BuiHuyDieu)さんと話し合いました。
「今年の初め、グエンさんの血液検査をしました。遺伝子が血に流れているので(よくわからない)、治療をしても直らない。赤血球も減っています。1700万-1900万(赤血球がこんなにあること自体が間違い)になっているので、全身のイボをカットすると、血が止まらないそうです。家族も全員入院・手術には反対しています。
戦場から生きて戻ってきただけでも、幸運だったと家族は思っています。枯れ葉剤の手当も今年なって増額されました。そのうち治療ができれば、イボの数をおさええることが出来るかも知れないと、家族は考えています。
私たちは、家族の意見を尊重したいです。病院で治療してもなおりませんし、それが死亡を早めることにつながるかもしれません。家族の絆で介護すれば、より長生きできるのではないかと考えています」と説明してくれました。
これで、グエンさんには、当面薬代の援助しか方法はなくなりました。皆様のご支援のなかから、薬代として、金一封を差し上げました。(つづく)
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