受領者は、ホアン・バイン・クアンさん 61歳。
在宅訪問した時に、ホアンさんはベッドの上に寝ていた。ホアンさんは、ここ1年半寝たきりの生活が主体になりました。
左耳は聞こえませんが、右耳が使えるのがわかりました。
そこで私たちは、補聴器と車椅子を贈呈した。
現在顔の皮膚に漂白したように白い症状が現れています。写真で、お気づきになれると思う。クチの周辺の皮膚が白くなっています。これは白い髭ではないのです。症状はまだ軽い方です。
これは、軍を退役した1989年ごろから出てきたという。
そして、視力も衰えています。
近所に、健康そうな弟さん、ホアン・ゴック・ヒエップさんが住んでいて、車椅子の助っ人としては心強い人です。早速、車椅子の扱い方の練習をして頂きました。
寝たきりだったクアンさんの表情に笑みが浮かび、明るさが戻ってきました。
クアンさんのお宅は、外へのアクセスがよく、中庭にでる石段さえ気を付ければ、気持ちよく車椅子で近所の散歩に出られるので、より世界が広がるのではないかと思います。
ホアンさんは、1965年9月14日に北ベトナム人民軍に入隊。歩兵304師団の一員として、南部のヴンタウ、タイニン、ロンカインで従軍。
1989年に除隊した後、警察にも勤務。警察中尉として退役しました。
ベトナム戦争終結の翌年1976年に結婚して、お嬢さんがいます。
ホアン・ティ・フオンさん。1978年生まれ。
お嬢さんは、1回目流産しています。2回目はよくなりましたが、結局4回流産の末、女の子が生まれました。現在14歳だそうです。
久しぶりに母屋を離れて、外に出たホアンさん。たった20メートルでも新鮮だったに違いありません。
「まじまじと、庭の木の葉を眺めていた」と、私の家内は言いました。やはり、晴れの日の外の景色は、クアンさんにとって格別だったのです。衰えた視力でも、木々や葉、花が新鮮に見えたのです。補聴器と車椅子で、クアンさんの世界は広がったと確信します。
同行してくれた人民委員会の人の良さそうなお役人さんが、われわれに御礼をいってくれました。
「薬よりいいものをありがとうございました」と。
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