贈呈(2)
車椅子の受領者グエン・ティ・クエンさんは、重い脳障害です。
自分が自分を分かりません。
クエンさんのお父さんは、元兵士のグエン・ヴァン・ヒューさん、67歳です。お母さんは、ダオ・ティ・スアン(66歳)さんです。
クエンさんは、1974年に生まれました。家の中の一室に閉じこめられているのか、閉じこもった方がクインさんにとって居心地がいいのか、わかりません。
外務省職員のタインさんが昨年11月に下見に行ってくれた時の報告は、「大も小も床に垂れ流し」でした。
部屋の中では、常に素っ裸のようです。親の手間を考えてこうしているのか、不明です。
部屋の中では、常に素っ裸です。寒くなれば毛布状のものをかけているようです。
美系の顔をしています。外に出ないので、顔は色白です。
お父さんが抱いて外に出てきた時には、いやがりませんでした。そして、贈呈した車椅子に乗るときもいやがりませんでした。
いやがったのは、危険防止の太い帯を付けた時でした。括られると思ったのか、異常に恐怖心を見せました。
お父さんに聞きましたが、「いままで娘の体を縛ったことは一度もない」と。
その言葉は信じられそうでした。
それでは、なぜ?
何か、恐怖心と結びつく経験が過去にあったのではないでしょうか?
問題がもう一つあります。
車椅子にクエンさんを楽に乗せたりするほど、父親が若くないこと。父親の腰痛があること。母親の血圧が高く、こちらも娘を乗せるための力仕事が出来ないことです。
そこで、近所にいる息子さんのお嫁さんティンさんに来てもらって、車椅子の扱い方を覚えてもらいました。44歳ですから、協力してもらえれば、両親にとっても助かることです。
折角息子のお嫁さんグエン・ティ・ティンさんが助っ人として来てくれたのですが、結局、車椅子に載せて移動することはできませんでした。
ここは、もう一つ問題がありました。
クエンさん宅の井戸水が汚いのと、両親は腰痛や高血圧を抱えて、その水でさえ運ぶのが容易ではないことが分かりました。そこで、熟慮の末、オーストラリアのエイドリアン・ハーリーご夫妻から頂いた寄付金を、井戸掘りに充てることにしました。
現在の井戸は深さ20メートルもありません。汚い水が出てきます。後は、雨水を貯めた水しかありません。
60メートル掘ると、きれいな水の水脈に当たるらしいです。それに汲み上げのためのポンプをつけて、300米ドルで出来そうです。
私はカンボジアでも経験がありますが、60メートルほどの深い水脈にあたるときれいな水が出てきます。カンボジアの場合も、井戸の掘削料を出してあげたら、そこのおじさんが早速きれいな水を売り歩いていました。
わが支援隊の新しい方向付けになるかと思い、試し掘りのつもりで決断しました。
世界中でも、きれいな水を飲める人口はごく限られています。日本でも、輸入する食料の生産に必要な水の量は年間数百億立方メートルに相当するといわれております。水問題の深刻化は、私たちに無関係ではありません。
できれば、クエンさん宅の井戸が8月までに完成していることを祈っています。完成していれば、8月にちょっと立ち寄らせてもらおうと考えています。
2007-05-23
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