2007-05-07

ニュージーランド 元ベトナム兵 50億ドルの訴訟へ

【ニュース速報】ニュージーランドのベトナム戦争退役兵が、ニュージーランドがベトナム戦争に参戦して以来のニュージーランド総督、国防相、保健相、ヘレン・クラーク現首相を含む存命中の歴代の首相を相手に、なんと50億ドル(日本円約4400億円)超大型損害賠償請求訴訟を計画している。

左の地図は、ロイヤル・ニュージーランド軍が駐屯していた場所を示す、ベトナムの地図である。オーストラリア軍にほぼ近いかつてのフック・トゥイ省(現在は現バーリア。ヴンタウ省)である。

ベトナム退役兵アクション・グループは、政府、及び主要閣僚など主だった政治家を相手に史上空前の額を求めて訴訟をおこす理由は、エージェント・オレンジの惨禍は、主たる政治家の行動の欠如にあったと判断したためである。

ニュージーランド退役兵は、この訴訟にあたって、オーストラリアのアスベスト訴訟で15億ドルの賠償を勝ち取った巨大なオーストラリア法律事務所のスレーター&ゴードンに依頼したのである。

近日中に、スレーター&ゴードンは、作戦を話し合うために、同事務所の幹部が会合することになると、サンデー・ニュースは報じている。

「退役兵のグループの方から、スレーター&ゴードンに相談をもちかけられた。われわれは、いま、状況を調査しているところだ」と、同法律事務所の広報は、5月5日に、サンデー・ニュースに語った。寸デー・ニュースによると、同法律事務所は、この裁判について前向きで、今週中に開かれる会談で、ベトナム退役兵の主張の詳細を聞くことになる。

予定されている訴訟では、1962年以来の歴代政府および幹部の違法行為を犯し、退役兵に保護の義務を怠った、とするものだ。

この場合の違法行為(malfeasance)とは、役人が在職中に法律を破り、他人に害を及ぼすことに使われる用語である。場合によっては、刑事罰の対象になる。

下は、フック・トゥイ省で従軍するロイヤル・ニュージーランド軍

クラーク首相は、5月5日、この訴訟問題についてコメントを控えた。そして、すべての質問をピル・ゴフ国防相に任せた。ゴフ国防相は、「政府は3千万円エージェント・オレンジ被害補償一括法案で、退役兵の要求にこたえる演説をした。

ゴフ国防相とリック・バーカー退役兵問題相が、エージェント・オレンジ補償の管理方法をめぐって会談する矢先に、この訴訟の動きが起きた。

エージェント・オレンジ被曝の症状の中で5つの公認された症状の
をもつ退役兵だけが、このパッケージの対象になっているにすぎない。ガンや心臓病などの疾病に悩む数百人の退役兵は、政府の補償は無いまま取り残されることになる。

政府補償計画のもとでは、皮膚病のクロアクネと4つの特定のガンと診断された100人弱の退役兵が、約4万ドルの補償を受けることになる。

また、退役兵の2世の子どもには、スピナ・ビフィダ(二分脊椎)、口唇裂、口蓋裂、二種のガンに限定いう条件付きで2万5000ドルを受給出来る。

ベトナム退役兵アクション・グループの広報担当ブルース・ウェイア氏は、1300人を超える元兵士と未亡人が代表して訴訟に参加することになると語った。

「すべての退役兵とその家族が必要条件を満たす面倒を政府からみてもらうために、政府を相手に訴訟を起こす。現在の一括補償では、5%に満たない退役兵しか救われない。それでは満足できない」ウエィア氏は、サンデー・ニューズ紙に語った。

「われわれは裏切られたという感じをもっている。この問題を適正に確実に解決するために法廷に持ち込むことにした」

「われわれは、この裏切り行為、嘘、隠蔽を高等裁判所でさらし出すことができると思う。ニュージーランドの国民は、ベトナム退役兵が何に対して戦わなければならないかを目の前にすることができる」

昨年、サンデー・ニューズは、ベトナム退役兵に関する遺伝学テストが、核爆発に被曝したよりも、エージェント・オレンジに汚染した方が如何に酷いかを暴露した。重要なDNAの障害が最高7世代までつづくという結果を示したのだ。

ウエィア氏は、「この集団訴訟に登録した退役兵一人について、ほぼ400万ドルの補償を求める」と語った。

「40年間におよぶ嘘、隠蔽、だましに対する懲罰的損害賠償金を求めている。そして、もしこれが法廷に行けば、退役兵一人に対してわれわれは400万ドルの賠償金を求めることになると想像している」

「そこで、1300人の原告では、あまりにも膨大な金額だと人は言う。しかし、数世代にわたるDNAの損傷の現状をみれば、退役兵士の世界では誰もが賠償の対象になるということを知る必要がある」

「ベトナムで従軍した3200人あまりの退役兵のうち、ベトナム戦争終了以来ほぼ500人が亡くなった。そして、最近では、毎週、誰かが亡くなっている。もし政府の主要人物が適正に手を打っていれば、これらの死のうちの多くを防ぐことが出来た」

「集団訴訟は、退役兵と死亡した退役兵の家族にも開かれている。参加するのは総勢で1300人になりそうだ。退役兵、戦争未亡人、退役兵の家族が登録することになろう」

ウエィア氏は、こう語った。

われわれ支援隊の考えは、この訴訟の勝利を祈る。そして、被告となる政府側にも、この機会に、人の命の尊厳性を認識する最高の機会にしてもらいたい、ということだ。 (北村 元 記)

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