この裁判の判事団の一人で、チリのフアン・グーズマン判事は、「何が起きたか知らないとは、米国政府に言わせない。今回は、アメリカ政府は良心の声を傾聴しなくてはならない。なぜなら、裁判の判決の中で声高に述べられる良心の声は、オバマ政権と播基文国連事務総長に送られるからだ。国際法、国連憲章及びハーグ議定書に基づき、すべての結果に照らして、アメリカ政府と化学企業を非難することは簡単だ」と、トゥオイ・チェ紙のインタビューで述べた。
ベトナム戦争中に、ダウケミカル、モンサント・ケミカル、ファーマシア、トンプソン・ケミカル社などの化学企業が供給し、アメリカ軍が南ベトナムに撒布したダイオキシン含有の化学剤は8000万リットル以上に及び、480万人のベトナム人が、皮膚病、ガン、先天性欠損症と障害を起こすに至った。しかしながら、これらの人々に如何なる補償もされていない。そして、更に悪いことに、「被告らの誰も、パリで開かれた良心の裁判に出頭してこなかった」と、ベトナム枯れ葉剤被害者協会のチャン・スアン・トゥ事務局長は、オンラインの新聞社ベトナムネットに語った。裁判を始めるために民主弁護士国際協会と調整作業を行ったのは、ベトナム枯れ葉剤協会だった。
枯れ葉剤被害者で、この裁判に出席した一人のホー・ゴック・チューさんは、戦争中に枯れ葉剤に曝露したことで、前立腺線維腫、脊髄および首退化症状と皮膚病を患っている。「ダイオキシン入りの化学剤メーカーは、この真実を認めるべきだ。アメリカの旧軍人は、エージェント・オレンジ・メーカーを相手取った1984年の集団訴訟で補償を受けているのに・・」と、ベトナムネットに語った。
それは、ヴェトナムの歴史的変化の生き証人であるヴォー・グエン・ザップ将軍は、この裁判に寄せた書簡の中で次のように述べた。
「それこそがベトナム人被害者への不正義であり、ベトナム人被害者は、惨めな中の最も惨めな人たちである。およそ15万人のアメリカ人被害者に年間15億~20億米ドルの補償を化学企業にさせるアメリカ法廷の不公平さ、不当、かつ道徳的、法的に受け入れがたい判決は、ベトナム人と世界の進歩的な人々を怒らせている」
良心の裁判による裁判は、司法制度によったものではない。しかし、「その判決は、アメリカの化学企業に、ヴェトナムにおけるアメリカの化学戦争の深刻で長期の結果に対する責任をとることを道徳的に強要するものだ」と、ザップ将軍はホーチミン市のラジオに語った。
トゥオイ・チェ紙によると、リュー・ヴァン・ザット弁護士は、この判決は、実際、アメリカ政府と化学企業に対して巨大な世界世論の圧力となり、その常識が法廷の合法的な価値観となると述べた。ベトナム枯れ葉剤被害者協会(VAVA)のグエン・ヴァン・リン会長は、「正義のためのこの闘争には、広い影響力をもつ。これは、ベトナムの犠牲者のみならず、世界の他の人々の闘いでもある」と、語っている。
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