国際人による良心の裁判は、5月18日朝に出す最終判決を前に、5月17日にフランスの首都パリで、ベトナムのエージェント・オレンジ/ダイオキシン被害者を支持する2日間の審理を終えた。
審理では、フランスのロラン・ヴェイユ弁護士(写真下:民主弁護士国際協会(IADL))は、エージェント・オレンジ/ダイオキシンが否定できない犯罪をベトナムの人々に引き起こしたと断言した。
ヴェイユ弁護士は、「その罪を犯した人々(特にアメリカ化学企業で、ベトナムで撒布するためにアメリカ軍に枯れ葉剤を提供した)は、エージェント・オレンジ/ダイオキシン被害者に補償しなければならないと指摘した。ヴェイユ弁護士は、エージェント・オレンジ/ダイオキシンの被害者としてだけでなく、とりわけ、不正義の戦争の犠牲者として補償を与えられたアメリカの旧軍人よりも高いレベルの補償を受けることが当然。300万人以上のベトナム人被害者に正義を返す時だ」
さらに、ベイユ弁護士は、
ダイオキシンが今日まで、そして恐らく将来も、ベトナムを荒廃し続けるという観点から、特に中部高原地帯と中部地域のような重度汚染地域におけるヴェトナムの生態系に対するダイオキシン被害の軽減措置をとるようアメリカ化学企業に求めた。 ロラン・ベイユ弁護士(仏)
法廷での陳述で、アルジェリアのアッダ・ベコウシェ弁護士は、肉体的および精神的な苦しむベトナムのダイオキシン被害に対する補償も、またヴェトナムの生態系への損害に対する補償もしないアメリカの化学会社の行為を法律の歴史上で最大の不正義として決めつけた。
そして、同弁護士は、ベトナムのダイオキシンの被害者が何も得ないというならば、それは受け入れられるものではないと断じた。
パリに拠点を置くNGO“エージェント・オレンジ:希望の花”協会のニコール・フェルドマン氏は、「法的な闘争は別として、エージェント・オレンジ/ダイオキシン被害者のほとんどが人生に困難を背負っており、国際社会はその人たちのために財政的、精神的援助をするために動員をかける必要がある」と主張した。
その見解に賛同して、ピエール・レジェンダーム博士はヴェトナムがエージェント・オレンジ/ダイオキシンの影響に関する包括的な研究と評価が出来るように、そして、有毒な化学製品が人間と環境にこれ以上の被害を与えないように解決策を検討できるよう、ヴェトナムに財政援助を含む援助を提供する必要を強調した。
レジェンダーム博士は、また、起こりうる悲劇を防止し、被害者に対する差別のない社会的な環境を作るために、ダイオキシン被害者、その家族と、彼らの周囲で暮らす人々に関する心理的研究を行う必要性も提起した。
グエン・ティ・ビン元副国家主席(写真下)は、そして、戦後34年たっても、ヴェトナムにおけるエージェント・オレンジ/ダイオキシンのひどい結果を他の国がより深く理解してもらえるために、この法廷は役目を果たしているとして、法廷を開いたIADLのイニシアティブを称賛した。
“平和と開発のためのヴェトナム基金”会長として、ビン夫人は、法廷に参加した外国の証言者の存在を強調した。そして、米化学企業と軍隊の行為に対する異議だけでなく、正義と補償を求める闘争をしているベトナム人への支持と連帯に対して感謝の意を表明した。
法廷裁判長であるインドのジテンドラ・シャーマ弁護士は、国際人による良心の裁判の判決には法的拘束力はないが、ベトナム人及び世界のエージェント・オレンジ/ダイオキシン被害者が行う正義のための戦いで、国際社会からより多くの支持を得るために彼らの問題を声に出していく環境作りをするために、この裁判はたいへん重要な意味をもつと発言した。
この永続する厳しい闘争の中で、ベトナムのエージェント・オレンジ/ダイオキシン被害者の後ろには、良心と平和を愛好する人たちのいる国際社会が控えているので、決して一人きりではない」
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