2009-07-01

良心の裁判(4)

今回は、6月16日付けヴェトナムのVOVニュースの報道を取り上げました。良心の裁判で判事の一人を務めたアメリカの女性法律家の主張をまとめたものです。
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米弁護士 ベトナム被害者のために正義を要求
「リチャード・ニクソンの約束を履行し、ヴェトナムの人々にアメリカ政府が犯した恐ろしい間違いを償う時である」と、アメリカのトーマス・ジェファーソン法科大学マージョリー・コーン教授(写真下)は言った。
マージョリー・コーン全米法律家団体NLGナショナル・ロイヤーズ・ギルド註1)長は、2009年6月15日付けのハフィントン・ポスト紙に、「ヴェトナムを汚染し続けるエージェント・オレンジ」と題してメッセージを載せた。同会長は、5月、パリで開かれたエージェント・オレンジのベトナム人被害者を支持する国際人による良心の裁判で、判事を務めた。また同会長は、民主弁護士国際協会アメリカ支部員である。
マージョリー・コーン教授の主張は次の通りだ。
1961年-1971年の間に、アメリカ軍が大量のダイオキシン(地球上で最も危険な化学物質の一つ)を含むエージェント・オレンジをヴェトナムに撒布した。この化学物質は、WHO(世界保健機関)は、発癌物質として認定され、また、アメリカ医学会議からは、催奇形薬(先天性欠損症を引き起こす)と認定されている。
コーン教授

250万~480万のベトナム人が、エージェント・オレンジ剤に曝露した。そして、ベトナムの国土面積のおよそ12%に相当する14億ヘクタールの土地と森林にエージェント・オレンジが撒布された。

彼女は、この化学物質に曝露した人々は、ガン、肝障害、肺及び心臓疾患、生殖障害、皮膚及び神経障害を患っていると書いた。これら曝露した人たちの子供や孫は、重度の身体的奇形、精神と身体の障害、各種疾病にかかり、短命に終わっている。

一方、ヴェトナム南部の大部分の森とジャングルは、荒廃して、裸地化された。土地は元に戻らないかも知れない。仮に戻るとしても、再生するのに50年~200年かかる。

ハノイ・友好村で

ヴェトナムで従軍したアメリカ兵は、同じような疾病を経験してきた。彼らが政府にエージェント・オレンジを製造しアメリカ政府に販売したダウケミカルモンサントを含む化学会社を訴えたあと、提訴は示談で、1億8000万米ドルで和解した。この和解で数千ドルを受け取った原告はほとんどいなかった。その後、アメリカ旧軍人は、エージェント・オレンジ暴露の補償の立法上の勝利を得た。アメリカ旧軍人は、年間15億2000万米ドルの給付金を受けている。

しかし、ベトナムのエージェント・オレンジ被害者が化学会社を相手に連邦裁判所に訴えを起こした時に、地方裁判所のジャック・ウェインスタイン判事は、エージェント・オレンジは、1907年のハーグ議定書によって規定された化学兵器の対象にはなっていないと結論付け、訴訟を却下した。

クアンチ省ドンハーで

先月パリで開かれた国際人による良心の裁判で、化学者のピエール・ヴェルメウリン博士は、ヴェトナムの汚染された土壌を回復するのに、1ヘクタールに10億米ドルが必要だと見積もられると証言した。被害者の多くは24時間の世話を必要としているが、被害者の面倒を見るコストは巨大な額になる。

1973年に、ニクソン大統領は、ヴェトナムの復興支援に32億5000万米ドルの拠出を、“前提条件なし”で約束した。しかし、その援助が与えられることは一度もなかった。

同教授によると、ヴェトナムには友好村が11箇所しかない。しかし、それはそのような村がエージェント・オレンジの子どもの被害者の面倒をみるには1,000施設を必要とする。

ホーチミン市の平和村2で
コーン教授(註2)は結論として、多くの他のベトナム人やアメリカの旧軍人とその家族にとって、あの戦争は被害をもたらし続けている。そして、補償がアメリカのベトナム戦争退役軍人の被害者に役立ったように、議会はベトナム人被害者に補償する法案を可決しなければならない、とした。
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北村註1:2006年の法律家団体NLG(ナショナルロイヤーズギルド)の総会で、ある東京の弁護士がスピーチし、「アメリカに9条があれば、戦争に費やした金・人員をカトリーナ(サイクロン)の被害者に向けられる」と述べると、大きな拍手が起こった。憲法9条のアピールをしてきました。

北村註2:マージョリー・コーン教授は、2006年10月にナショナル・ロイヤーズ・ギルド会長に就任。サンディエゴの2006年の最高の法律家の一人に認められた。彼女は、国際的な人権問題とアメリカの外交政策に関して世界で講演している。Posted by Picasa

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