連続11回でお伝えしてきた良心の裁判の報道ですが、法廷の総括をお伝えし、その後ニュルンベルク綱領をご紹介して、一応閉じることに致します。
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CONCLUSIONS:
結論
This Tribunal finds:
1. アメリカ合衆国政府は上記の罪を犯していて、ヴェトナムの環境への損傷を「エコサイド」と定義することができると判断する;
2. 召還と原告申し立てをされた化学剤企業は、上記にあげられた犯罪における共犯として有罪である。そして、
3. アメリカ合衆国政府とエージェント・オレンジを製造・供給した化学企業は、エージェント・オレンジの被害者とその家族に完全に補償しなければならない。アメリカ政府と化学企業は、土壌と水から、そして特に旧アメリカ軍基地周辺の重度汚染地域からダイオキシン汚染を取り除くために、環境を修復しなければならない。
枯れ葉剤が撒布された後のチュオンソン・ルート 補償と修復という上記の仕事を完遂するために、当法廷は、各被害者、家族、社会に分配する補償額を評価するためのエージェント・オレンジ委員会を設置することを勧告する。
エージェント・オレンジ委員会は、被害者とその家族に、専門医療設備とリハビリテーション、他の治療を提供するのに必要な額も決定する。
エージェント・オレンジ剤委員会は、汚染地域に関する必要な研究費用、及び将来における環境修復費用も見積もる。
アメリカ軍による民間施設への攻撃 エージェント・オレンジ委員会は、被害者を支援し、環境を修復するために費やした金額を補償するために、ヴェトナム共和国に支払われるべき総額を決定する。
当法廷は、医学、科学、技術、法律、疫学、農業、毒物学、生態学、民間行政と一般市民社会の代表で構成される卓越した人々からなるエージェント・オレンジ委員会の設立をヴェトナム社会主義共和国政府に直ちに求める。エージェント・オレンジ委員会は、その設置から1年以内に、種々の勧告をしなくてはならない。
アメリカ海兵隊1968年3月18日 エージェント・オレンジ委員会が必要な総計金額を確定した暁には、それらの金額はアメリカ合衆国政府と化学企業から、共同・独自で、現在及び将来の被害者とその家族、環境修復のために設けられる特別の信託基金に支払われなくてはならない。アメリカ合衆国政府からアメリカ復員軍人枯れ葉剤被害者に支払われている年間15億2000万ドル金額は、エージェント・オレンジの活動費用の指針として使用することができる。
この「まとめ」とともに当法廷の詳報は、4週以内にベトナム政府に提出され、発表を経て世界各国に完全に配布される。
以上が、このたび開かれた法廷の総括です。そして、これまでたびたび出てきたニュールンベルク綱領を掲載しておきましょう。
ニュルンベルク裁判 ニュールンベルク綱領 〔1947年〕
1.医学的研究においては、その被験者の自発的同意が本質的に絶対に必要である。このことは、その人が同意することができる法的能力を持っていなければならず、暴力、ペテン、欺き、脅迫、騙し、あるいはその他の表面には現れない形での強制や威圧を受けることなく、理解した上での間違いのない決断を下すのに十分な知識と包括的な理解を持って、自由に選択できる状況の下で、被験者となる人が自発的同意を与えるべきであること、を意味している。そのためには、医学的研究の対象とされている人から確定的な同意を受理する前に、研究の性質、期間、目的、実施方法や手段、被験者となったために起こり得ると考えられるすべての不自由さや危険、健康や人格に対する影響について、医学的研究の対象とされている人は、知らされる必要がある。同意の内容が妥当なものであるかどうかを確かめる責任は、実験を開始し、指導し、あるいは実施する各個人にある。これは、実施責任者が難を逃れて他の人に責任を押しつけることのできない実施責任者個人の義務であり、責任である。
2.実験は、他の研究方法や手段では得られず、かつ行き当たりばったりの無益な性質のものではなく、社会的善のための実り多い結果をもたらすべきものでなくてはならない。
3.実験は、動物実験の結果に基づき、かつ病気本来の由来を理解し、また期待される結果がその実験の遂行を正当化するような研究において、直面した他の問題についての知識をふまえた上で計画して行うべきである。
4.実験は、すべての不必要な肉体的・精神的苦痛や障害を起こさないように行われなくてはならない。
5.死亡や機能不全を生じる障害を引き起こすことがあらかじめ予想される理由がある場合には、その実験を行ってはならない。ただし、実験する医師自身も被験者となる実験の場合は、おそらく例外としてよいだろう。
6.許容されうる危険の程度は、その実験で解決されるべき問題の人道的重要さの程度を上回ってはならない。
7.被験者に傷害、機能不全や死をもたらすような僅かな可能性からですら被験者を守るべく、適切な準備をし、十分な設備を整えなければならない。
8.実験は、科学的有資格者によってのみ実施されなくてはならない。実験を指導し実施する人にとっては、すべての実験段階を通じて最高度の技術と細心の注意が必要である。
9.実験の進行中に、被験者にとって実験の続行が耐えられない程の肉体的、精神的な状態に達した場合には、随意に実験を中止して貰えなければならない。
10.自分に求められる誠実さ、優れた技術、注意深い判断に基づいて、実験の継続によって被験者に傷害、機能不全や死をもたらすだろうと推測するに足る理由がある場合には、実施責任者は実験の途中でいつでも実験を中止する心構えでなければならない。