2011-05-15

蓮の花奨学生からの便り(29)

最近送られてくる奨学生からの手紙には、東日本大震災を心配してくれている文章が書きこまれています。

今日ご紹介するお手紙には、封筒にも文面にも、お名前が書かれていません。ハノイの消印ではなく、3月30日付けのタンロンの消印になっており、ハノイ市内の郵便局かと思われますが、そうすると、誰なのでしょうか? 字体は女性のようです。ホアさんかな・・では、手紙をご紹介します。
愛のベトナムさわやか支援隊の皆様と北村さんへ

拝啓

私は、ベトナムのニュースや新聞により、日本の大震災と津波の酷さを見たり聞いたりしていてぞっとしました。自然災害で壊れた東日本の姿をテレビで見て、なかなか言葉に出来ないくらいすごく心が痛んでいます。皆様とご家族はご無事でいらっしゃるのかどうか心配しています。

ベトナムでは、日本の国民がこの災害を乗り越えて、一日も早い復興を・・と、多くの人がお祈りしています。それに、ネットワークに接続すると、「PRAY FOR JAPAN」(祈りを日本に!)という英語が書かれて出てきます。

現在の日本は厳しい状況になっているようですが、私たち及び世界の人々は、日本の方々が絶対にこの災害を乗り越えて、早く復興する心の強さを持っていると信じています。

私は大震災の話が報道されてある新聞記事を見て、すごく感動しました。このような大きな災害が起きても、日本人たちはすごく冷静で、お互いに力を合わせ頑張っているという画像を見て、本当に素晴らしい国だと思います。それに、長い行列の中にいる9歳の男の子がお腹が空いているのに、支援された食料の配給を待って秩序よくちゃんと並んでいるのに感心しました。

そして、ある学校の先生は、生徒たちを救うために、危険な所に戻るという話しなど・・・まだまだたくさんの感動する話が新聞に載っています。

私は、何より日本の皆さまが無事で、早い復興が出来るようにお祈りしてやみません。

                               敬具
 優しい気持ちの詰まったお便りありがとうございました。
お名前が分かりませんが、間違いなく女性の文面です。
 少なくともこの数年、ベトナムに行って皆さんに会った人たちは、全く無事です。ご心配ありがとうございます。しかし、その親戚や友人をたどれば、被害に遭っている方はいるかも知れません。事実、私の友人も、福島で被害に遭っています。
 さて、復興と言ってもそう簡単ではありません。復興は、産業の復興だけを意味しません。もっと大事な被災者の生活の立ち直りが伴わないといけません。誰のための復興か・・その視点を欠いた復興に幸福は存在しません。それ無しの復興を急いで、失敗した過去が日本にはあります。

 が、行政の力強い後ろ盾は必要ですが、個人的には強い希望を捨てなければ、復興は出来ると思いますし、その心の芯の強さを持っていると思います。やがて、この国難に打ち克っていく姿を、応援してくださった世界の人びとに見て頂くことが出来ると確信しています。
 ご心配 本当にありがたく、このお手紙もまた、宮城県の友人に転送をさせていただきました。
 どうか、お元気で、勉学を続けてください。

北村 元 愛のベトナムさわやか支援隊
       Love & Support Vietnam Since 1990
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