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ウィリアム・J・ファロン米太平洋軍司令官は、ベトナム国内に4箇所の重度汚染地区がある事実を認めた。その4箇所とは、(1)ビエン・ホア元米軍基地、及びその周辺地域。(2)ダナン元米軍基地、およびその周辺地域。(3)カメラマン沢田教一氏が、子どもを抱いて川を渡る母親を撮った場所で有名なフー・カット。そして、(4)クモン(Cu Mong)峠である。この4箇所は、戦争中にアメリカ軍が大量に枯れ葉剤を備蓄していた所だ。
「アメリカ政府はこの4箇所の環境改善と土壌の洗浄について責任がある。アメリカ政府はベトナム政府と協力して、この問題を解決する」と、太平洋軍司令官は述べた。
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さらに、米越両政府が協力して、4箇所の重度汚染地域の環境改善を計ること以外に、ファロン司令官はもう1点、次のように述べた。
「枯れ葉剤の人体への影響に関しては、米越両国政府は、今後とも協力し会って継続して研究していかなくてはならない。研究してから解決方法を考え出したい」と。
拙著(『アメリカの化学戦争』(梨木の舎刊)で触れたように、科学研究は、とても時間のかかる仕事だ。まして、財政に余裕がないベトナムでは、当然のことである。従って、ファロン司令官の述べたことに対する私の考えは、アメリカ側は、依然として枯れ葉剤の人体に対する被害を公式に認めていないと断言できる。儀礼上ベトナムを訪問したが、この発言は、アメリカによる時間稼ぎの追認発言である。
アメリカの裁判所がベトナム側訴訟を棄却したように、長い道のりが始まったばかりだ。
因みにクモン峠について、当時朝日新聞記者の本多勝一氏はこう記述している。『フーイェン省とビンディン省の境界のクーモン峠は、(韓国)猛虎師団が「にぎりめし作戦」のエサで解放区の村人を「手なずけた」ところだ』
(北村 元:記)
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