今回は、前回の続きで(下)です。
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一方、民間の財団や個人のボランティアは先を行っている。エージェント・オレンジ汚染地区を特定し、ダイオキシンレベルを測定する初期の努力は、1990年代にアメリカに拠点を置くフォード財団が行なった。
その後、技術協力はアメリカ環境保護局からの技術援助を受けて、フォード財団は、現在ダナン国際空港の一角の最大の汚染地域に、ダイオキシンが都市の給水に流れ込まないように濾過システムを設置し、その地域に人々が立ち入らないように壁を建設するなど、汚染区域を「覆った」。
もう一つアメリカ軍が放棄したアールオイ渓谷(北村註:地図を持っている方は、トゥアティエン・フエ省を開けてください。フエから西に49号線が延びています。それが14号線とぶつかるところがすでにアールオイなんですが、アールオイという町は、それを右に曲がります。そのあたりから、許可証がなければ個人では入れません。この14号線は、すでに昔のホーチミンルートですが、今は結構拡幅してあります)の旧空軍基地では、ベトナムの植物学者が、25,000ドルの寄付を集め、村民が池に入って魚釣りが出来ないように、汚染地域の周囲にサボテンのような茂みととげの木を植えることにしている。(ダイオキシンは、動物性脂肪に速く蓄積するので)。
これらは長期的解決策ではないが、ハットフィールド社の調査で、単純な柵でも立ち上げれば、付近住民の血液と母乳のダイオキシン濃度が劇的に下がったことが分かった。
ダナンの慈善団体は、米国の資金が地域の障害者の面倒をみるために提供されるとなると、その資金がどうやって使われるのか心配だと懸念を表した。議会が割り当てた600万ドルの一部は、ダナン周辺での障害をもった居住者と働く人道的グループに与えられた。
しかし、お金が機能しているという証拠をみつけることは困難だ。「Save the Children」には、障害者の就職を手伝うためとして40万ドルが与えられた。しかし、同団体が報道関係に話した唯一のケースは、大学卒業者に一つの仕事を見つけただけだった。
もう一人の女性は、ダナンのビン・ダン病院の一つの病棟に器具を設置し、内装を一新した。だが、その病棟はほとんど空なのだ。なぜなら、アメリカのリハビリセンターが実質的には医療機器を持っていないので、患者を受け入れるのは時期的にもむずかしい。その一方で、駐ハノイの米大使館は、健康改善アドバイザーに50万ドルも使っている。
エージェント・オレンジの影響で、例えば四肢が奇形だったり、無眼症など、奇形で産まれた子供たちの面倒をみている団体は、なぜかそのような金は見たこともない、どうしてだろうといぶかっている。
「寝たきりで、食事も自分でとれない多くの患者は、24時間の介護が必要である。子が年をとり、親は死んでいく時、では、誰がその子らの面倒を看るのか?」と、質問するのは、 枯れ葉剤被害者ダナン協会のグエン・ティ・ヒエン会長だ。彼女のグループは300人の子供たちの面倒を看ているのだが、地元の慈善団体は、アメリカの最近の金の配分のおかげで現金が潤沢だという確信をもっているようなので、彼女の団体への寄付は50%下がっていると言う。
「アメリカ人が使う100万ドルは、世話のためでなくて、主として会議と訓練のためだ。その金は、被害者の面倒を看るために使われなければならない」と、ヒエン会長は主張する。
しかし、誰が受益者になるかを決めることは、悪夢だ。個人でダイオキシン濃度を測定するのは、一人1,000ドルものコストがかかる。— ヴェトナム人には、そんな余裕はないという価格だ。ヴェトナム側は全人口の先天性欠損症を枯葉剤になすりつけるようなので、アメリカの交渉担当官と科学者はイライラが募っている。
外交官は、彼らが広範囲にわたる曝露と健康障害の主張を支持しないかもしれないので、ヴェトナムは認められた科学的研究法を使用する気はないと不満を表明して、数年前、会談を打ち切ったことがある。彼らは、ヴェトナム側がもっと自助努力をすべきだと不平を述べた事がある。ベトナム人が汚染地区の周辺に塀を建設するのを止める者など誰もはいないと、あるアメリカ外交官は指摘する。(北村註:上のオレンジ色の文章を指している)そして、ベトナム側はこの問題をより多くの援助と同情のために利用しているとほのめかしている。
しかし、ベトナムの人々は、そして、ベトナム政府も(もちろん政府はより静かだが)、もっとしなくてはならないのは、それももっとはるかに多くのことをしなければならないのは、アメリカであると主張する。
ある人は、アメリカ政府は、戦闘中行方不明になった兵士の残骸を捜すのに、毎年5000万ドルを使っているが、それと比較すればエージェント・オレンジ浄化費用には、ほんのわずかしか使っていないと指摘する。
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