2007-08-10

この2年のうごき (中)

今日、8月10日は、ベトナム枯れ葉剤被害者の日だ。日本の広島、長崎の原爆の日に相当する。改めて、正義の実現する世界のために、闘うことを誓いたい。

③2007年のこれまでの動き
ベトナムの枯葉剤被害者協会の被害者は、2007年6月4日に抗告手続きをした。この訴訟は、2005年に連邦判事によって棄却されている。

当時の連邦判事は、原告たちは化学剤が遺伝子的損傷を引き起こしたという証明ができていないとして棄却した。上訴した裁判の判決が出るまでどのくらい時間がかかるかは不明である。

月曜日(6月4日)の審問は、16名の元アメリカ兵についての証言で始まった。そして、その後ベトナム側の被害者の証言に移った。

今回の上訴でも、ダウ・ケミカルモンサントハーキュリーズなど枯葉剤メーカー側37社を提訴している。

ベトナム側被害者4人が審問出席のためにアメリカまで出向いた。その一人は、グエン・ティ・ホン(Ngueyn Thi Hong)さん(60歳)は、元従軍看護婦だ。流産を経ていくつもの病気を抱えている。7月20日に亡くなられた。

体力の落ちたグエン・ヴァン・クイさんは車椅子で参加した。そのクイさんは、胃ガンなど複数のガンを併発。クイさんは、北ベトナム軍の小隊長で、戦争中、中部ベトナムのコントゥム地方で従軍した。この審問出廷から戻った7月7日に52歳の若さで亡くなった。

これら被害者のアメリカでの支援は、おもに平和運動のための復員軍人会が中心となっておこなった。復員軍人会はエージェント・オレンジを表すオレンジのリボンをつけて、リボンには“ベトナムのエージェント・オレンジ被害者に正義を”という文字が書かれていた。支援の会は裁判所の外で集会を開き、“企業は犯罪に対して支払いを”と書いたプラカードを持っていた。

中には、審問を追っている犠牲者の支持者のひとりフレッド・コックスさんは、何十年前の戦争に反対して抗議運動に参加した人だ。「あの裁判には憤慨した。一人のアメリカ人が立ち上がり、われわれはベトナム人にも我が国の復員軍人にも賠償などする理由はないと議論することに驚きを禁じ得ない。いったいどうやって彼らは帰国し、どういう良心の中で暮らしていけるというのか?」

 1984年には、アメリカの化学会社数社は、法廷外決着で、アメリカ復員軍人が起こした集団訴訟で、1億8千万ドルの支払いをしたが、枯葉剤の結果に対する責任は拒否した。

また、昨年(2006年)には、韓国の高等裁判所が、ダウ・ケミカルとモンサントに対して、韓国のベトナム参戦兵士とその家族に賠償金として70億ドル余りの支払いを命じた。


④裁判所:復員軍人省は エージェント・オレンジ被害者に賠償せよ 2007年7月19日

 サンフランシスコ控訴審で、裁判所は7月19日(木)に、アメリカ復員軍人省を叱りとばし、
エージェント・オレンジに曝露し、白血病にかかったベトナム復員軍人に、遡及して支払いをするように命じた。

 「アメリカ復員軍人省の活動は、国家の恥辱に大きく貢献してきた」 第9回巡回控訴裁判所の意見にはこう書かれてあった。

 この裁判所の命令で、アメリカ復員軍人省がいくら支払うのか、あるいはどのくらい多くの復員軍人が白血病に罹病しているのかは直ちには不明である。

 復員軍人局のスポークスマン、フィル・ブダン氏は、7月19日(木)、現在判決内容を分析しており、これ以上のコメントは控えると語った。

 アメリカ復員軍人省は、2003年に、通称CLLと言われている慢性リンパ性白血病のかかっているベトナム戦争復員軍人にも拡大して手当を払うことに同意した。アメリカ軍は、南ベトナムやカンボジアでエージェント・オレンジを含む2000万ガロンの枯葉剤を撒布した。

 しかし、復員軍人省は、それより軽い慢性病にかかっている元軍人からの要求には再検査に応じていなかったり、あるいは最近の一番論議の中心である手当の遡及的支払いにも応じていない。

 7月19日(木)に出された判決に付随した意見は、もともと1986年に起こされた集団訴訟に由来する給付金に関する1991年の目標的合意を、下級審が適切に解釈したかどうかを含めた技術的問題に関するものだ。

 上訴裁判は、復員軍人には遡及的給付を受ける権利が有るとする元軍人のグループの立場に立った判決を下した。

 「われわれは、この訴訟をこれで終結することを希望する。わが政府は、16年ほど前に同意した内容で政府が引き受けた法的義務を尊重しなくてはならない。妨害者の官僚的対立はやめなくてはならない。われわれは、道義的にも法的にも資格がある元軍人が給付金を最終的に受けられるということを希望する」と、スティーブン・ラインハルト判事は、意見書に書いた。

 これに対して、国家復員軍人法的支援計画のリチャード・スパタロ弁護士は、「木曜日の判決は、もしアメリカ復員軍人省が最高裁判所に上訴しなければ、最終的に法律闘争に終止符を打つ。もし研究者が他の障害をエージェント・オレンジと関連づけるならば、この決定により、それらの元軍人たちに対する遡及的給付も、アメリカ復員軍人省が拒否できなくなるだろう」と述べた。 (つづく)

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