2007年6月26日
6月に行われたベトナムのグエン・ミン・チエット大統領とアメリカのブッシュ大統領との米越首脳会談で、エージェント・オレンジによって起きた被害に取り組むための新たな計画を発表された。両国はエージェント・オレンジ犠牲者が援助を必要としている事で合意したが、科学者の間ではエージェント・オレンジが本当にどのくらい被害を与えたのかについてはまだ議論の最中だ。
ベトナムはおよそ300万の人が、アメリカ軍が戦争中に撒いたエージェント・オレンジに由来する健康障害に悩んでいると主張する。エージェント・オレンジには、高濃度の有毒化学物質ダイオキシンが含まれていた。
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しかし、最近、アメリカは、ベトナムにいる障害者への医療援助を増額し、アメリカ議会も土壌の洗浄やダイオキシン関連の疾病のために300万ドルの出費を承認した。
ベトナム旧軍人アメリカ財団のハノイ代表のトム・レッキンジャー氏は、その動きを歓迎している。
「私は、1970年代の後半から、文字通りエージェント・オレンジ問題に関わってきた。過去の30年間に比べれば、この2年の動きはめざましい」と語る。
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アメリカの国際開発機関の環境担当のネイサン・セイジ氏は、ハノイで、「この協力は、両国の友好関係進展の一環だ。この問題に関する協力のレベルは、いままでにはなかったことだ。ベトナム側が援助を要求しているので、われわれとしても引き続きベトナムを支援していく」と語った。
レッキンジャー氏は、アメリカ側に、2005年の下期から方針の転換がみられたという。それは、化学分析会社のハットフィールド・コンサルタントによる研究で、旧アメリカ軍基地のダイオキシン汚染濃度の高さが指摘されたときだ。旧アメリカ軍基地には、エージェント・オレンジが備蓄されていたが、地方の汚染は無かった。
「私は、このことが、ベトナム政府の心を解放し、輸出問題、農業、海産物の輸出にも心配がないと、最終的に前に進み出てこう言わせたと思う」と。
このために、アメリカにも旧アメリカ軍基地周辺のダイオキシンの重度汚染地域の洗浄に焦点を当てる援助が出来ることを確実にさせた。
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アメリカ科学者のアルヴィン・ヤング氏は、1970年代の初期からエージェント・オレンジの研究を進めてきた。そして、ハットフィールド社のベトナム中部ダナン市のダイオキシンデータは、誤解を与えるものだという。
「ハットフィールド社が見つけたダイオキシンの多く、つまりTCDDは他の発生源からきたのではないか」という。ヤング氏は、ハットフィールド社によるベトナム・メコンデルタのカン・トー市でのダイオキシン発見にふれて、おそらくあれは地方自治体の戸外のゴミ捨て場でゴミを焼却したことから生じたものだ、と主張する。
「私の結論は、ハットフィールド社がエージェント・オレンジからTCDDを検出したという可能性は極めて低いのではないか、ということだ」
だが、ベトナム赤十字エージェント・オレンジ犠牲者支援計画の責任者レ・ケ・ソン博士は、それに反対意見を述べる。「エージェント・オレンジ汚染の強いところの近くでは、集団で先天性欠損症がみられる」という。
その一方で、ソン博士(33委員会)は、アメリカ政府が最近エージェント・オレンジの被害者援助のための資金を確保したりしていることに注目し、アメリカが新しい角度からこの問題を見ている兆しだとこの動きを評価している。
この3年間、ベトナム被害者グループは、アメリカの枯葉剤の製造企業を提訴してきた。訴訟は2005年に棄却されたが、ベトナム側は先週、上訴した。
ベトナム退役兵グループのレッキンジャー氏は、
「仮に訴訟が軌道に乗ったとしても、補償は先の先だという気がする。このことが裁判で見えてくるまでに10年かかるとみる。それより早いというなら、私の1ヶ月分の給料をかけるよ。近い将来という時間で区切ってなんらかの補償があるとほのめかすことは、只単に人々の願望を間違った方向に導くことになるだけだ」と言った。
仮に一部のアメリカの科学者がエージェント・オレンジの被害がいかに深刻であったかを受け入れなくとも、アメリカとベトナム両国政府は、ベトナム側被害者という人々の一部を助けるために協力している。長くこの問題に関わってきた人々にとって、これは進歩と受け止めるのだ。
しかし、アメリカはこれでお茶を濁してはならない。(おわり)
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