2006-04-14

二人の若い命を消すな!

2006年・愛のベトナム支援隊ツアー  ただ今募集中!!
(詳しくは、4月12日号をご覧下さい)

あなたがこの子らの親だったらどうしますか?
諦めますか? 全力で助けますか?

ハノイ在住のマイさんから、貧困から医師の診断も受けられなかったニンビン省のハイ君とニャンちゃんの、詳しい病状の報告が入りました。真心と援助を送り続けて下さっている、東京・文京区の山本邦子さんたち子を持つ優しくてエネルギッシュなヤング・ミセスのお母さん方・・ほんとうにありがとうございます。
二人の子の検査入院には、皆さんから頂いた援助金を使わせて頂きました。ハイ君、ニャンちゃんのお母さんは、夫と一児を病気で失っています。皆さんに、病院で山本さんたちへの感謝の気持ちを伝えてくれたそうです。 子どもたちに笑顔を。お母さんにも笑顔を取り戻したいです。

検査入院の結果は、ズバリ申し上げて、二人は大変な”重病”でした。それほど長く生きられない・・死を待つ兄妹(写真下)でした。誰もが、この世に尊い使命をもって生まれてきたのです。なんとか長く生きてほしい・・この子らをなんとしても輝かせてあげたい・・そう願う方々と、私たちは団結したいと思います。

なんでハイ君とニャンちゃんが社会から取り残されていたか? いろいろな理由があります。地域の人々が、ぎりぎりの生活をして、ただひたすら耐える文化の中で暮らしてきたのも大きな理由でしょう。かつての北ベトナムは、貧乏を分かち合う社会でした。しかし、抗米戦争に勝利するというような大目標がなくなった今、競って物質的豊かさを求める社会が実現しつつある裏で、他者に思いを馳せる心も少しずつ失せてきたような気もします。そこに発展しゆくベトナム社会の難しさがあります。この一家は長期の栄養失調・・医者からも慈愛の一片も与えられずに暮らしてきました。病気を克服できる元気を与えたい・・・希望を持って生きる喜びをあげたい・・そう思います。



まずは、下の報告書をお読み下さい。

Posted by Picasaニャンちゃん(お母さんに寄りかかっている子。2005年10月撮影): 2006年4月4日に小児科に入院。4月12日に退院しました。 担当医は、ド・ヴァン・ズン医師です。医師診察による病名は、先天性赤血球破滅貧血症でした。原因は、父親からの遺伝によるものとのことです。

 ニャンちゃんの病状です。『赤血球が普通以上に破壊されることにより脾臓が非常に大きくなってきた(X線スキャンによれば腹腔は脾臓で埋まっている);血液中の鉄分値が高い;さらに栄養が長期的に不足している。よって、肝臓・心臓が膨れ機能不全となり、心臓からは吹きだしのような音がする』

 退院後の治療方法:『6ヶ月ごとに検査・輸血ため来院が必要である。ただし、バク・マイ病院に行く必要はなく、地元ニン・ビン省の病院での検査・輸血でよいとされている。輸血後しばらくは元気が回復するが、時間がたつにつれて赤血球が破滅されることによって、体力が徐々に低下してくる。その期間は6ヶ月と想定される。ただし、患者の健康状態が異常に悪化すれば、医師の指示によりその期間は1ヶ月毎に短縮される可能性がある』


 『きちんと輸血が受けられれば、死んだお兄さんの25歳を上限としてあと数年くらい寿命は持つかも知れない。定期的な輸血治療を受けられないと死期は早まる。また、激しい衝撃を受けることにより脾臓破壊で死を招く恐れもあり、安静を必要とする。輸血以外の治療法はない。ただ、栄養の補給・摂取に特段の注意を払えば、投薬の必要ない』

(上の写真は、2006年4月に撮影したものです。二人とも輸血を受けて、少し病状の改善が表情にみられますね)

ハイ君:

  血液科に2006年4月4日入院し、妹と同じく4月12日退院しました。担当医は、グエン・ティ・ラン・フオンさんという女医さんです。病名は、 βThalassemia。これはベータサラセミアといいます(北村註:下に説明をさせて頂きました)。病因は、父親からの遺伝によるものと診断されました。入院中、250ml入りの輸血用パックを6パック、輸血しました。

 ハイ君の病状です。『赤血球が普通以上に破壊されることにより低色素貧血、脾臓が非常に肥大している(X線スキャンによれば腹腔は脾臓で埋まっている);栄養が長期的に不足→ひどい貧血状態である。肝臓はやや膨れ、その機能が衰えている。また、骨の生成にも影響が出ている。ハイ君の病状は今とても悪い。いつでも死ぬ可能性がある。来年どころかあと何ヶ月くらい維持できるかどうか、先の見通しはくらい』

  退院後の治療方法:*服薬((1)肝臓機能強化薬 単価はたいてい2500ドン/1錠どこの薬局でも簡単に購入できる。種類もいろいろある。 (2)痛み止め薬 単価1000ドン以内/1錠、簡単に購入できる)*そして、1ヵ月後バク・マイ病院での再検査が必要だ。


(上の写真は、診断を終えて休んでいるハイ君です。マイさん撮影)

 サラセミアについて:


 *サラセミアは、ヘモグロビン(酸素を運ぶ赤血球中のタンパク質)を形成する4つのアミノ酸の鎖のうち1つの鎖の産生が不均衡なために生じる遺伝性疾患群です。

 *サラセミアは異常が生じたアミノ酸の鎖によって分類され、アルファ鎖に異常が生じるアルファサラセミアと、ベータ鎖に異常が生じるベータサラセミアの2種類に大別されます。アルファ・サラセミアは黒人に最も多く(25%が異常遺伝子を少なくとも1つ保有)、ベータ・サラセミアは地中海地域と東南アジア地域出身の人に最も多くみられます。お兄ちゃんのハイ君の場合は、このベータサラセミア(地中海サラセミアと呼ばれています)に属します。

 *サラセミアはまた、異常遺伝子を1つもつ軽症型サラセミアと、2つもつ重症型サラセミアに分けられます。今度の医師の説明ではどちらか不明ですが、私は重傷型と推測しています。

 *サラセミアはいずれも同様の症状を示しますが、重症度はさまざまです。軽症型アルファサラセミアと軽症型ベータサラセミアでは、軽度の貧血だけで症状はありません。重症型アルファサラセミアでは、中等度から重度の貧血症状が現れ、脾腫が生じます。ここに、一つの危惧があります。ハイ君の場合は、マイさんが医者の説明を受けた限りでは、脾腫の話も、他の臓器に腫瘍が出ている話もありませんが、どこかに出ているか、出る可能性を捨て切れません。

 *重症型ベータサラセミアでは、重度の貧血症状が生じ、黄疸、皮膚潰瘍、胆石、脾腫がみられることがあります。骨髄の活動が過剰になり、特に頭部と顔面の骨が厚く大きくなります。腕と脚の長骨が弱くなり、骨折しやすくなります。ハイ君に黄疸症状が見られます。

 *重症型ベータサラセミアの小児は成長が遅く、思春期に達するのが正常より遅れます。鉄の吸収量が増加し、頻繁な輸血が必要となることでさらに鉄が供給されるため、余分の鉄が心筋に集積して沈着し、最終的に鉄の過剰による障害や心不全が生じることがあります。この説明を読んで頂ければ、ハイ君の成長不全が分かると思います。

 *サラセミアは他のヘモグロビン疾患よりも診断が難しい病気です。1滴の血液を電気泳動法で調べる検査が役立つこともありますが、特にアルファ・サラセミアでは診断の確証を得にくい傾向があります。このため、特殊なヘモグロビン検査と遺伝のパターンから診断を行います。

 *サラセミアの多くは治療を必要としませんが、重症の場合は骨髄移植が必要になります。正常な遺伝子を体内に導入する遺伝子治療は、現在研究中で、まだ成功していません。

どうすべきか、お知恵を!!
 臓器の肥大は問題です。心臓は、一日に8トンの血液を全身に送り出し、酸素や栄養を運んでいます。
*ニャンちゃんの最大の問題は、寿命があと数年という医師の診断です。半年毎に検査・輸血ため地元ニン・ビン省の病院への通院が必要です。この1回の検査・輸血にどのくらいの入院が必要なのか、1日ですませられるのか。費用はどのくらいか。

 *次に、兄のハイ君の直近の問題は、医師の診断によれば、明日をも知れぬ命だということです。この認識にたって、どういう手を打つかを、考える必要があります。そして、栄養不足をどうやって解決していくか。

 *内服薬購入の為の継続的な経済支援が必要です。 (1)肝臓機能強化薬 単価はたいてい2500ドン/1錠。 (2)痛み止め薬 単価1000ドン以内/1錠、となっていますが、1日何回何錠服用という指示が示されていないので、計算が難しいです。

 *1ヶ月後(5月中旬)バク・マイ病院での再検査の為の経済的援助が必要です。この指示をしてあげなくてはなりません。

 二人とも、父親の遺伝が原因とのことです。そして、二人とも既に鉄分が肝臓細胞に過剰に蓄積されている状況とみますが、投薬だけでどのくらい早く鉄分を消費させることが出来るのか、を医学的見地から知りたいです。その上で、医師から指摘されている栄養の補給・摂取はどういう形で早く実現できるか? も知識として必要ではないでしょうか。 皆さん、教えてください。

 この幼い命をなんとかして助けてあげませんか。皆さんと共に力を合わせて。
ビクトル・ユゴーは叫びました。大空より広いもの、それは人の心だ、と。皆さんの広い心を結集したいと思います。

 「人間が利己的にして、他人の幸福を顧(かえ)りみざれば、禽獣にも劣っている」と、語ったのは、マハトマ・ガンジーです。われわれが禽獣に劣ることは、許されません。

 二人の子どもに、持続できる栄養補給の援助をしましょう。わが師匠は、食物の特性について、こう語っています。「第一に、生命を維持し、寿命を保つ。第二に、精神と身体の生命力を増大させる。第三に、身体に輝きや活力を生む。第四に憂いや悩みを鎮める。第五に、飢えを癒し、衰弱を除く」と。
 
 人のために苦労するのは我が特権と考え、私たちと同じように生きていけるように、二人に必要な栄養と元気を援助したいと思います。(北村記)



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