エージェント・オレンジ関連疾病に門戸を開く・・という見出しです。
今週(註:とっくに過ぎた話ですが)提案される新規則の下で、復員軍人省はパーキンソン病、虚血性心疾患と有毛細胞性白血病の3疾病を、ベトナムで広範に使用された有毒枯れ葉剤、エージェント・オレンジに起因したと想定される疾病リストに加えることになった。
この新方針で、これらの病気がベトナム従軍中の直接の結果だったと主張する何千もの復員軍人にとってはかなり安堵となる。そして、それにより、彼らが復員軍人省から毎月の障害者診療と医療検診治療をスムーズに受けられる道を開くものだ。
「長官就任以来、私は我々がなぜ、エージェント・オレンジがヴェトナムで最後に使われて40年も経っているのに、戦場に従軍した我々の軍人に健康障害を決めかねているのか、私はしばしば尋ものだ。多数の健康問題を抱えている復員軍人は、ちょうど良い潮時の決定を受ける必要がある」と、シンセキ長官は声明で述べた。
復員軍人省は、ホジキン病、前立腺ガンと2型糖尿病を含む13の疾病をすでにヴェトナムでエージェント・オレンジに曝露した結果の関連病と推定し、認めている。
そのリストに載っていない疾病に関しては、復員軍人は従軍と病気との直接的な関連証拠の提出を求められており、しばしば証拠提出は、申請受理の拒否と長期の裁判につながっている。
復員軍人省は、この新方針によって、およそ20万人の復員軍人が温駅を受けることになると推定している。しかし、復員軍人省は、新方針が承認を受け、最終文書として発表されるまでは数カ月がかかりそうで、新方針によって医療費がどのくらいかかるか費用の算定は出来ないと言っている。
シンセキ長官の決定は、復員軍人省に、パーキンソン病、虚血性心臓病と高血圧を、エージェント・オレンジ関連の疾病リストに加えるよう働きかけてきたアメリカ・ベトナム復員兵協会のような団体の勝利である。
しかし、新しい方針は、また、連邦政府が肉体的、精神的な問題が広がりつつある年老いた復員軍人の補償や看護にどこまで責任をとらなければならないかという議論を促しそうでもある。
3つの疾病の中で最も一般的な虚血性心疾患は、心臓への血液の流れを制限し、心筋の不整脈と悪化を引き起こす。(北村註:よく聞かれる「心筋梗塞」や「狭心症」をまとめて「虚血性心疾患」という。「虚血」とは「血がない状態」を意味する。つまり心臓に十分血がいきわたっていない状態が「虚血性心疾患」だ。動脈硬化で冠動脈の内側が狭くなったり血管のけいれんが原因で、血液が十分に心臓の筋肉(心筋)にいきわたらなくなったとき、心臓は酸欠(虚血)状態となり、胸痛などの症状としてあらわれる。)
パーキンソン病は、ドーパミン(脳内ホルモンの一つで、中枢神経系に存在する神経伝達物質。アドレナリン、ノルアドレナリンの前駆体でもある。運動調節、ホルモン調節、快の感情、意欲、学習などに関わる)を分泌する細胞の喪失と関係している。患者は、振るえ、姿勢の硬直化、バランスが崩れる、運動を始めることが出来ないなどの問題が起きてくる。
有毛様細胞白血病はよりまれな疾病だが、成長の遅いガンで、骨髄が感染症と戦う健康な白血球、赤血球と血小板に群がる細胞、リンパ球をあまりに多くの生産してしまうもの。
エージェント・オレンジ(貯蔵ドラム缶に色分けされた色の帯から名づけられたもの)は、ジャングルの天蓋を剥ぎ取り、収穫を破壊するために、ヴェトナムで使用された最も一般的な除草剤だった。それには、最も有毒のダイオキシンを含んでおり、それが、その後一部のガンと関連してきた。
シンセキ長官の決定は、この7月に出された医学研究所の報告書の影響を受けたと、側近は言う。同研究所の報告書では、ベトナム退役軍人で除草剤への露出と、パーキンソン病と虚血性心疾患の発症率の高さとの関連が、「限定されたか、きわどい証拠」を発見したとしている。そして、同報告書は、除草剤と毛様細胞白血病の間の関係についても、「十分な証拠」(より強いカテゴリー)を見つけたとしている。
それらの警告を出したにもかかわらず、医学研究所報告は、復員軍人擁護団体からは、従来の方針転換を正当化するに十分な証拠を提供したものと評価された。復員軍人へのエージェント・オレンジ政策を規定している法律のもとでは、復員軍人省は、科学的な証拠だけに基づく決定だけで、費用に関する手当ての決定を下すことはできない。シンセキ長官の側近は、医学研究所の報告書がその証拠を提供したと語っている。
0 件のコメント:
コメントを投稿