民主弁護士国際協会(IADL)は、パリ(フランス)で、5月15日から2日間の日程で、エージェント・オレンジ・ベトナム被害者を支持する国際人による良心の裁判を開廷(写真下)した。
ベトナムの新聞、ニャンザン紙をもとに報告する。
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ジテンドラ・シャーマ裁判長は、開廷の冒頭で次のように述べた。
「1961年から1971年までエージェント・オレンジ及びダイオキシン入りの他の化学剤を使用したベトナムに対するアメリカの化学戦争は、環境、生態系、ヴェトナムの人々の健康に重度で、大量、長期の種々の結果を引き起こした。
その時から現在に至るまで、アメリカ政権は、これらの化学剤使用の結果の責任を認めていない。エージェント・オレンジ被害者ベトナム全国協会が起こしたエージェント・オレンジ製造企業に対する責任も認めない立場をとった。
世論と国際的良心の名において、民主弁護士国際協会(IADL)が主導して、エージェント・オレンジベトナム人被害者を支持する国際人による良心の裁判は、次の事項を検討し、結論をだす。
1)1961年から1971年までアメリカ合衆国軍隊によるエージェント・オレンジの使用により引き起こされた、ヴェトナムの環境と生態系、及び、ベトナムの人々の健康に与えた結果を示す事実。
2)1961年~1971年まで期間国際慣習法の下でヴェトナムで行った化学戦争行為におけるアメリカ合衆国政権の責任。
3)ヴェトナムの環境と生態環境、及び、ベトナム人の健康に与えた結果の改善において、エージェント・オレンジをヴェトナム領土に撒布したことに対するアメリカ合衆国及び化学剤提供企業の責任。」
枯れ葉剤被害者ベトナム全国協会(VAVA)を代表して、グエン・ヴァン・リン会長は、1960年代と1970年代にアメリカが展開したヴェトナム戦争の遺産が環境に巨大な損害を引き起こし、480万人以上のヴェトナムが毒にさらされたという事実を指摘した上で、次のように挨拶した。
「その被害者となったおよそ300万のうち、多くの人々が死んでいき、その他の多くの人は怪奇な重い疾病と障害により苦しんで生き残っている。多くの子ども達が恐ろしくて忍びない奇形の姿で生まれた。ほぼ40年経って、他の戦争の傷跡が消えたが、これらの戦争の影響が消えていく兆候はない。それどころか、その戦争の影響は、人の予想を超えてはるかに悲惨さと長期の症状をみせている。
一方、直接この悲劇を引き起こしたアメリカは、これまでその道徳的、法的責任を逃れようと努めてきた。
その結果、ベトナムの被害者は、2004年1月30日にブルックリン(ニューヨーク)地方裁判所で訴訟を起こすことを決めた。被害者がアメリカの法廷で起こした訴訟は5年かかった。
しかし、アメリカ政府は、ヴェトナムにおける化学戦争で撒布したエージェント・オレンジの被害者となったアメリカ旧軍人への補償に何十億ドルを使っておきながら、ベトナム人の裁判は連邦裁判所の地方、高等、最高裁のいずれの段階でも拒否された。
アメリカの法廷は、エージェント・オレンジ/ダイオキシンは、単なる除草剤にすぎず、毒性ではない、その有害な結果は意図した物ではないという単純な理由で、ベトナム人被害者が起こした裁判に異議を唱えた。アメリカの法廷によって行われたこの不合理な断定は、分析し、世界に広く知らしめる必要がある」
リン会長は、こう述べた後、さらに次のように語った。
「ベトナムの被害者が苦しむ痛みは、全人類の痛みだ。正義のための被害者の闘いは、彼らの利益のためだけではない。アメリカ、オーストラリア、ニュージーランド、韓国とカナダなど他国の被害者のためでもある。エージェント・オレンジ/ダイオキシンの被害者だけのためではなく、他の全ての残忍な大量破壊兵器の犠牲者のためでもある。今の世代のためだけでなく、将来の世代のための闘いでもある。ベトナムのエージェント・オレンジの被害者は、正義と人権(すなわち、生きる権利、自由と幸せの追求)の概念における基本的で神聖な権利を、毎日奪われている」
リン会長は、こう強調した。
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