2009-06-25

アメリカ議会人の鋭い指摘

ヴェトナムの人々とアメリカのヴェトナム戦争復員軍人の苦しみが無視される一方で、どうして何十億ドルものカネがどこかよその再建に充てられるのかと、元ベトナム戦争兵士のイーニ・ファレオマヴァエガ(共和党)連邦議会議員が疑問を呈しています。その議員は、写真の方です。今回は、彼の主張をご紹介しましょう。

われわれの努力がヴェトナムの人々の役に立つことができて、役に立たなければならないのだが、米国はヴェトナムでエージェント・オレンジの環境の被害について述べるだけの最小の努力しかしてこなかった」と、アメリカの一議員が語った。

今日まで、あいも変わらず、アメリカは、エージェント・オレンジが与えた被害を否定してきた。その被害は戦争の被害を超えたものであり、無実の一般市民の生命に影響を与えてきた。アメリカはまた、南太平洋での行為に対する責任を認めることも拒否してきた。行ったのは、環境汚染に対する洗浄の最小限の行為であり、不公平にも何世代にもわたってエージェント・オレンジによって致命的な病気にさらされてきた人々に補償する努力も怠ってきた

と、イーニー・ファレオマヴァエガ議員(アジア・太平洋及び世界環境問題上院外交問題小委員会委員長)は語った。

小委員会でのイーニー・ファレオマヴァエガ証言は、6月初めにウェブサイトにアップされた。これはアメリカ議会がエージェント・オレンジについて開いた2回目の聴問会だった。第1回の聴聞会は、2008年3月に開催された。エージェント・オレンジとは、ベトナムでアメリカ軍が撒布した毒性枯れ葉剤である。

聴聞会で、イーニー・ファレオマヴァエガ小委員長は議会調査局(CRS)の資料を取り上げた。

3200人以上のベトナム国民を対象に行った1995年の研究論文では、平均TEQ血中濃度は、非撒布地域の人々と比較して撒布地域の人々はほぼ6倍高いことが明らかになった。母乳の中にしめるダイオキシンの平均レベルは、ほぼ4倍高かい。そして、脂肪組織の中に占める平均レベルは、24倍高い。ダナンの住民のダイオキシンの血中濃度に関する別の研究論文では、世界の許容基準の100倍以上のダイオキシン(TCDD)が含まれていると報告されている。高濃度のTCDDに関しては、ビエン・ホア在住者の血液サンプルからも見つかっている

ファレオマヴァエガ小委員長は、ベトナムにおけるダイオキシンの環境結果の評価が進行中であり、ビエンホアダナンフーカットニャチャンアールオイなどの旧米軍基地など、いわゆる重度汚染地域では、特に深刻であるとの認識も示した。

北村註:最も毒性の強い2,3,7,8-TCDDを1とし、他の化合物の量はそれと同じ毒性を示す2,3,7,8--TCDDの量に換算する毒性等価係数(TEF: Toxic Equivalency Factor)を乗じて、その総和を毒性等量TEQ (Toxic Equivalent)として表示する。

しかし、同小委員長は、この問題に関して、他の補助金と比較すると、米国がヴェトナムに予定した財政援助が最小限のものでしかないことを指摘した。

アメリカ国務省とアメリカ国際開発庁(USAID)はダナン空港の内外での汚染封じ込めと環境改善への技術協力と財政援助を提供しているにすぎない。その援助も、環境改善と医療手当援助に割り当てられたのは、600万米ドル足らずという最小限ものだ」と、彼は主張した。

翻って、2003年から2006年まで、アメリカは357億ドルをイラク再建に充てた。議会調査局(CRS)によれば、ドイツには、2005年のドル換算で、1946年-1952年の援助において合計293億ドルを提供したこと。それは、経済補助金のほぼ60%に相当し、経済ローンの30%に当たるものだ。残りは軍事援助だった

1946ー1952年度の日本への総援助額は2005年のドル換算で、およそ152億ドルだった。そのうちの77%は補助金であり、23%がローンであったと、彼は付け加えた。

どうして、われわれは米国の旧軍人とヴェトナム人のためにもっと役立つことはできないのか? われわれはそうすることができるし、そうすべきだ。そして、だから、この問題に注目を払い、正しい方向に向けるために、自分の出来ることをしていこうと私が完全に約束する理由だ。ぞっとするような多数の病気にさらされてきたとするなら、同じ太平洋の島民(この議員はアメリカン・サモアの出身です)として、私はヴェトナム人に特別の親近感を覚える

と、同小委員長は言った。

最近では、5月15~16日パリで開かれた良心の国際人法廷では、エージェント・オレンジを製造したその企業とその使用を許したその国の政府は、エコサイド(環境汚染による生態系破壊)の罪を犯し、エージェント・オレンジの被害者とその家族に完全補償しなければならないと判決を下した。
死のエージェント・オレンジについて

ベトナム戦争中にアメリカ軍によって撒布された枯れ葉剤が入っていたドラム缶の色に因んでエージェント・オレンジと名が付けられたが、エージェント・オレンジには、TCDDとして知られるテトラクロロディベンゾー(tetrachlorodibenzop)という猛毒のダイオキシンが入っていた。
これは、人類が作った人工の毒としては最も猛毒の化学剤の一つだ。エージェント・オレンジは、1961年から1971年の間にベトナム戦争をしている南北両方の人々に影響を与え、先天性欠損症、ガンや他の疾病を引き起こしてきた。

アメリカ軍は、旧南ベトナムの領土の3万平方マイル以上の広さに、猛毒のダイオキシンを366キログラムの入った8000万リットルの化学剤を撒布した。
1975年ベトナム戦争終了までに、ほぼ480万人のベトナムの人々がエージェント・オレンジにさらされ、直接的には40万人の死を引き起こした。そして、その後も数百万の人が、ガンや遺伝子障害を含む破壊的ともいえる長期の健康障害に喘いでいる。
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同議員の主張をどう思われましたか?
指摘はすべて当たっています。
こういう声は、白人議員からはもっと出てこないものでしょうか?
オバマさんにも期待してるんですが・・・Posted by Picasa

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