この記事は、連載の「米最高裁 枯れ葉剤被害訴訟 棄却」シリーズの(5)として掲載致します。
今回は、英越友好協会のアルディス事務局長の、オバマ大統領への書簡です。翻訳は北村 元が行いました。写真も北村が挿入しました。もちろん、大統領への書簡には、写真は入っておりません。以上、お断りしておきます。(北村 元)
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2009年3月4日
バラク・オバマ大統領
ホワイト・ハウス
1600 ペンシルヴェイアニ・アヴェニューNW ワシントンDC
Ref:米及び越エージェント・オレンジ被害者に関する米最高裁決定
大統領閣下
この書簡は、貴大統領に宛てた2通目の書簡です。1通目(*当ブログ1月25日に掲載)は大統領に当選後、私も含めて多くの人々の将来に向けて希望と夢を託した物で、コピーを添付致しました。
残念ながら、私は、ベトナム戦争でアメリカ軍によって使用されたエージェント・オレンジで深刻な影響を受けたアメリカ復員軍人とベトナム人(およそ300万人以上)による訴えを拒否する、3月2日のアメリカ最高裁の恥ずべき決定に怒りを持って、この手紙を認(したた)めています。
バラク・オバマ大統領
ホワイト・ハウス
1600 ペンシルヴェイアニ・アヴェニューNW ワシントンDC
Ref:米及び越エージェント・オレンジ被害者に関する米最高裁決定
大統領閣下
この書簡は、貴大統領に宛てた2通目の書簡です。1通目(*当ブログ1月25日に掲載)は大統領に当選後、私も含めて多くの人々の将来に向けて希望と夢を託した物で、コピーを添付致しました。
残念ながら、私は、ベトナム戦争でアメリカ軍によって使用されたエージェント・オレンジで深刻な影響を受けたアメリカ復員軍人とベトナム人(およそ300万人以上)による訴えを拒否する、3月2日のアメリカ最高裁の恥ずべき決定に怒りを持って、この手紙を認(したた)めています。
証拠があるにもかかわらず、そのような決定が為されうると言うことは、被害者とその家族に対する侮辱です。さらなる侮辱は、裁判官が決定-それも信じられない決定ですが-その決定理由の説明をしなかったことです。
エージェント・オレンジを製造した企業の陪審による裁判を要求した訴えを拒否したことは、最高裁とアメリカ合衆国国家そのものの面目を潰すことになります。
エージェント・オレンジを製造した企業の陪審による裁判を要求した訴えを拒否したことは、最高裁とアメリカ合衆国国家そのものの面目を潰すことになります。
ご存じかもしれませんが、1984年にアメリカ復員軍人が同じ疾病で、同じ障害で同じ企業を訴えて、企業は法廷外で1億8000万ドルの解決金を払いました。
大統領閣下。あなたは1961年8月4日に誕生されました。まさにその月に、アメリカ軍は、南部ベトナムにエージェント・オレンジの撒布を開始したのです。そして、それは10年間続きました。エージェント・オレンジによる森林破壊の結末は、今日でもまだ見ることが出来ます。そして、エージェント・オレンジの結末もまた、ベトナムで深刻な影響を受けた障害者に見ることが出来ます。
最も痛々しいことは、戦争終結の後長い年月の後に生まれても、影響を受けている若い人々の数です。それは、アメリカが残した恐怖の遺産であり、それは第三世代まで引きずっていますし、仮に今そうでなくても第4世代にも指呼の距離です。
毎年ベトナムを訪問していますが、訪問中に私は障害を背負った若者を含む人々に会います。手や足の欠損した子どもが、片足であれ、片腕であったり、両足であったりするにせよ、そういう子が床を這う姿をみるのは、心地よい光景ではありません。閣下は、二人のお子さんを可愛がっていらっしゃいます。ベトナムで生まれエージェント・オレンジの影響を受けた子どもを持った親とて同じように、どの親も愛しく思うものです。
閣下は、最高裁による決定がこれらの親にどういう影響を与えたかをご想像できますか? 昨年12月5日に、ハノイから貴殿にお送りしたEメールを読んでいただけたでしょうか。その中に、被害者はもう十分に待ち、苦痛を味わっているので、アメリカ裁判所の判決を待たないようにと、貴殿にお願いした手紙をしたためたことがお分かり頂けるでしょう。大統領閣下。アメリカ最高裁は、いま、アメリカ復員軍人とベトナム人被害者の意向に反する判決を下しました。法廷の判決は判決として、貴殿には、エージェント・オレンジの被害者とその家族に対して財政的補償をする政策を立案する権限があります。
1981年に生まれた結合双生児の兄弟のグエン・ドゥックさんの発言を引用して、手紙を終わらせて頂きます。
2006年11月に、あるアメリカのジャーナリストが彼にインタビューをしました。そして、私の考えでは、エージェント・オレンジの全被害者の気持ちをまとめていると思います。
「一方ではあなたの国は人は化学兵器を使用したとしてサダム・フセインを裁判にかけていながら、別の国では、あなたの国は戦争のために化学剤を撒布している。あなたの国は自分の責任を無視している。アメリカは、その責任を認め、ベトナムのエージェント・オレンジの被害者に補償をしなくてはならない。それは、あなたの国の道徳的義務である。早かれ遅かれ、それは為されなければならないことだ」
これ以上、的確なことを言えた人は他にいないでしょう。
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