ニューヨークでの第2回米国巡回上告審は、これより先、エージェント・オレンジは、ベトナム人、アメリカ人の癌、糖尿病、先天性欠損症に関連しているという科学的研究があるにもかかわらず、エージェント・オレンジは健康に有害な影響があるというベトナム側原告の訴えを退けていた。
スーザン・ハモンド(戦争遺産プロジェクト:米NGO)は、次のように語った。
「勿論、私たちは全員が、最高裁が、裁判の審理を進めることを可能にする訴える嘆願を拒否する決定をしたことに失望している。
しかし、仮に裁判の進行が出来たとしても、それにはアメリカの裁判制度の中で長い年月がかかる。
エージェント・オレンジのために障害や疾病を持つベトナム人には、もう待つことは出来ない。彼らは、直近の健康、教育、日常生活に問題を抱えている。
エージェント・オレンジの影響を受けた人たちにもともっと手をさしのべられる必要がある。リハビリセンターや病院から隔てた所に住む田舎の人たちには、特にそうである。
エージェント・オレンジの影響を受けた人たちのために働いている戦争遺産プロジェクトや他のNGOは被害を受けたベトナム人を支援する努力を継続するだろう。
資金の投入は、財団、企業、個人など多くの分野からの資本を必要としているだけでなく、特にアメリカ政府から、資金を必要としている。アメリカ政府は、障害者への支援と病人のための医療援助、疾病や障害者の面倒を見るために働くことの出来ない貧しい家族を支援する計画への資金援助の増額をすべきだと思う。
ベトナムの新世代がエージェント・オレンジの影響を受けないように、旧米軍基地周辺のダイオキシン汚染地の洗浄のための資金を増額すべきだと思う。
アメリカが昨年提供したエージェント・オレンジ計画のための300万ドルは悪くはないが、まさに雀の涙にすぎない。
私たちとしては、それにもうひと桁増やすことをしてもらいたい。しかし、ベトナムにおけるエージェント・オレンジの長期的健康問題と環境問題についてアメリカ政府の役人を教育し、これが人道的問題であって、政治問題ではないと言うことを理解させるためには、まだまだ作業が必要である。
ベトナムでは、よく一歩一歩と言う言葉を聞くが、赤ちゃんの一歩ではなく、大きな一歩がわれわれには必要だ。
仮に裁判がこれ以上進まなくても、裁判は無駄ではなかった。
ベトナムのメディアの報道と外国のメディアの全報道が、“エージェント・オレンジ”に、人間の顔をつけ、これが歴史問題ではなくて、ベトナム戦争中に曝露したアメリカ軍復員軍人や他の国の人々だけでなく、ベトナムで、多くの家族が日常茶飯事苦しんでいる問題であるということを、人々に理解してもらうことに一助になったからである。
訴訟は、彼らが当然必要としている支援を得るための共通の闘いの中で、世界の人々をエージェント・オレンジ被害者を結びつける役目を果たした。
彼らの闘争の支援のために、必要な物は何であれ、われわれは継続して支援いていくつもりだ」