2009-06-21

奨学金の重み

やがては、そういう時代が来ると思っていたが、意外と早く来た。5月にオーストラリアのパースにいる友人が、ベトナムの奨学金の話を伝えてくれた。
以下は、クアンドイ・ニャンザン(人民軍)紙が報じたニュースである。
ベトナムの金星紅旗をイメージしたものだが、お分かり頂けるだろうか。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
韓国のLG電子(ヴェトナム法人)と新聞「青年」紙の読者が寄付した資金からなる、「エンデヴァー」(努力)奨学金(一人当たり200万VND相当)が、150人の枯れ葉剤被害者の子息に贈呈された。

ベトナム戦争中にアメリカ軍が撒いた枯れ葉剤(エージェント・オレンジ/ダイオキシン)に影響を受けた北部沿岸の1特別市、と4省(ハイフォン市、クアンニン省、タイビン省、ナムディン省、ニンビン省)の子ども達に、奨学金が贈られた。
5月15日にハイフォン市で行われた授与式では、受賞者がそれぞれ、将来の夢を語り合った。「同じ病気に悩む仲間を治療するために医師になりたい」「ITの専門家になりたい」などなど。

グエン・ティ・ハオさん(ナムディン省8学年)は、枯れ葉剤被害者のお父さんを喜ばせたくて、学校で良い成績を取りたいと、素直な夢を語った。彼女は、クラスで常に一番の成績だ。お父さんはベッドに寝たままで、お母さんは2003年に亡くなった。お父さんと、ハオさん、2人の妹は、現在いとこと隣人から支援で暮らしている。

また授与式で、ナムディン省,チュック・ダイ中学校7年生のファム・クアン・カイ君が、IT技術者になりたいという夢を聞いたハイ・フォン・テレビの司会者、チャン・トゥ・フオンさんは、枯れ葉剤被害者のカイ君にコンピューターを送る約束をした。カイ君のお父さんも、枯れ葉剤の被害者である。カイ君は現在、13才だが、身長は80センチしかなく、体重はわずか25kg。その症状は、頭は大きく、足は短い。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
記事はここで終わっている。何と冷たい終わり方の記事だ。記者の気持ちは、どこにあるのか。もっと社会勉強をしてもらいたい。こういう子どもは、ベトナムにたくさんいるのだ。もっと奨学金を受けるに至ったいきさつなど周辺取材をしてもらいたい。記事としては、中途半端だし、激励もない。情けない記事だ。

私たち「愛のベトナムさわやか支援隊」も、昨年から、本格的に奨学金の授与を始めた。資金に限りがあるので、選択はむずかしいい、心を痛める。まずは、貧しい人たちで、向学心のある人から・・というのが基本だが、では、勉強も出来ないほど、肉体的精神的に被害を受けている子どもたちは、どうするのか・・と悩みつつ、そちらは、もっと資金のある団体や、政府機関に任せる・・という私たちの一方的な結論で、出来るところから援助しようと始めた。幸い、志ある方がいらして、資金を提供してくださった。これに優る嬉しさはない。

まずは、一人から。2人、3人とふやしていって、今年も6人の増枠を決めた。世界不況だから、渡す方も楽ではない。まして、受ける方はもっと苦しんでいるかも知れない。そういうときこそ、奨学金は生きる、と確信している。

私も、日本育英会の奨学金で、学んだ一人だ。卒業後、いち早く、全金額を返済した。われわれが昨年から本格的に始めた奨学金は「蓮の花奨学金」と名付けた。泥の中からでも、美しい華を付ける蓮に、われわれの気持ちを託した。この奨学金は返済義務がない。少しでも、心に余裕をもって勉学しながら、他人を振り返る心が出来れば、何よりのことだと思っている。

下の写真は、2008年8月に、ニンビン省で奨学金を渡した時のものだ。

Posted by Picasa

0 件のコメント: