昼食を少し送らせて、枯れ葉剤被害者協会に、 VAVA副会長グエン・チョン・ニャン博士をBENH VIEN MAT TRUNG UONG
に訪ねました。お元気そうなお姿で私たちを迎えて下さいました。
「握手しましょう。お気持ちがすごくうれしいです」と。に訪ねました。お元気そうなお姿で私たちを迎えて下さいました。
挨拶を交わした後、「早速、毎年続けているアメリカでの裁判闘争・世界での正義の闘争の一助にと、金一封を贈呈したいと思います。これで5年目になりました。宮尾会長からお送りします」と、申し上げました。
「ありがとうございました。領収書をちゃんといれておきましたよ。ア・リ・ガ・ト」と、日本語で答えるニャン副会長。
「そして、もう一つ」と、宮尾会長から、当ブログの1年間分のコピーが贈られました。特に今年のアスペン研究所発表の米越対話は、日本ではほとんど報道されておらず、何かの時に役立てば・・と思っています。
ここで、N・T・ニャン副会長のお話をほぼ全文掲載します。
ちょっと長いですが、お付き合いください。
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北村さんも含めて、何回もお会いした方が今日もいらっしゃいますね。皆さん、今年もいらっしゃって、枯れ葉剤被害者に関心を持って下さりありがとうございます。
ベトナムの枯れ葉剤の被害者は、アメリカ軍は、化学剤を南部に撒きました。
アメリカ兵には、葉を枯らすものと説明していたものですが、実際は人体に危険なものでした。具体的には、北村さんの著書に書いてあると思いますが、人体に悪影響を及ぼす薬剤を使ったアメリカの責任ある対応を待っているところです。
今のアメリカ政府の対応は、責任を放棄しています。アメリカが枯れ葉剤を撒いたのは、1961年から1971年までです。来年は、アメリカが枯れ葉剤を散布して50周年になります。2004年に、ベトナムの枯れ葉剤被害者は、アメリカの責任放棄に対して、アメリカ企業を訴えました。ベトナムの被害者が、なぜアメリカの化学企業を訴えたのか、なぜアメリカ政府を訴えなかったのか?
彼ら化学企業は、枯れ葉剤が人体に悪影響を及ぼすということを知っているわけです。わかっているにもかかわらず、彼らはアメリカ政府から受注したのです。彼らは、会社の利益のために、できるだけたくさんの注文を受けました。納期に間に合わせるために、枯れ葉剤の濃度を規定より上げたのです。だから、より人体に危険が高まりました。
なぜ、民間会社を訴えたか。私たちは、アメリカの民事訴訟法に則って手続をしました。この場合は、ベトナム人の人体に影響を与えたアメリカの枯れ葉剤メーカーを訴えなくてはなりません。
アメリカ政府を訴えないということではありません。まだ手続きを行っていないだけです。
アメリカ政府をなぜ訴えないかというと、現在両国政府で問題解決に向けて行動を起こしているので、いまここでアメリカ政府を相手に訴訟を起こすと両国の友好関係が悪くなるので、今はまだその時期ではないと思っています。
しかし、アメリカ政府は、ベトナムが起こした裁判を却下するするように直接裁判官に指示するというみっともない行動を起こしました。そういうわけで、地方裁判所以降の上級裁判まで、ベトナムが起こした裁判は、全部却下されました。
却下した理由は、実際は枯れ葉剤被害の現状を全部無視した合理性の無い反論でした。
我々は裁判で勝利していませんが、アメリカ社会の世論も起きてきて、中国も後押しをしてくれ、他の外国も力になってくれるようになりました。
国際世論も高まりつつあり、アメリカはまたみっともない行動をおこしました。
ベトナム人の何人かを対象に対話活動をして、この対話を通じて問題を解決してみせるという行動を起こしました。
そして、アメリカは枯れ葉剤を撒いた汚染地域に住む人たちに、300万ドルの助成金を出すと言いました。皆さんもご理解くださると思いますが、300万ドルというのは冗談の金額です。何も解決できません。我が国はまだきちっと統計をとっていませんが、現在、約300万人の被害者がいます。実際枯れ葉剤を撒いた地域に薬品を使って汚染を無くす努力をするようですが、そのことを別に置いて考えても、300万ドルという助成金を被害者の数で割ると、一人1ドルにしかなりません。
1ドルという金額では、皆さんも分かってくださると思いますが、朝ごはんのフォーを一杯も食べられません。これでは、アメリカが誠心誠意対応しているとは言えません。
アメリカ政府が被害者に対してそういうアクションを起こしたのですが、なぜそういうアクションを起こしたか・・・見れば分かるのです。ベトナム人被害者は、アメリ政府ではなく、アメリカの民間企業を訴えたのです。なぜ,アメリカ政府が自らそういうことをしたか・・・それは自分が悪かったと認めているからです。そういうことも、この行動で分かってしまいます。
子供たちがかくれんぼする時に、皆隠れますが、僕はここにいるよというのが見えてくるのです。つまり、我々はアメリカ政府を枯れ葉剤で訴えていないのに、アメリカ政府がそういう行動を起こしたこと自体が、アメリカ政府が悪かったと認めていることがわかってしまうのです。
この前にアメリカのフォード財団が、米越の対話を行ないました。その時の募金活動で、総額は3億ドルになりました。十年計画ですので、1年3000万ドルです。だから、被害者一人当たり10ドルですね。これでは10日間生活できません。そして、被害者は10年も待てません。これは、世論を欺くものです。
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ですから、私たちは被害者のために世に訴え続けることを決心しました。
アメリカ側を訴える時には、向こうが反応してくる手を予想しながら、いろいろな対策を考えます。戦争は長かったので、たくさんの問題があり、いろいろ訴え続けてきたアメリカとの話合いの経験は豊富です。ですから、アメリカの裁判で却下されても、別に驚きませんでした。そして、それは、私たちをがっかりさせることもありませんでした。
これからも色々と対策を考えて、アメリカの世論を揺さぶっていきます。2005年、私自身、アメリカ10箇所を訪問しました。いろいろなアメリカ人と会って、話しをました。写真などを見せて、ベトナムの枯れ葉剤被害の真の実情を話しました。誰も異論を唱えませんでした。白人、黒人、原住民、学生・・・いろいろな人が応援をしてくれました。
これから、私たちは新しい闘いの時代に入ります。アメリカとの闘いは神経を使いますので、残念ながら、皆さんに手の内を明かすことはできません。しばらくは秘密です。今は、全世界でロビー活動をしている最中です。日本の皆さんには色々と支援をいただき、厚く感謝の気持ちを表します。2008年8月に私自身も広島と長崎に行ってきました。広島と長崎の原爆被害者とも友好関係を結びました。
先日のアセアン外相会議でアメリカのヒラリー・クリントン国務長官が来ましたが、アメリカ政府としてこれからももっと枯れ葉剤被害者を支援するように考えると言ってくれました。クリントン国務長官が約束してくれたことはとても嬉しいですが、われわれとしては、やはり闘い続けなくてはならないと覚悟しています。
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