2011-06-27

枯れ葉剤散布50周年 サイゴン解放紙から

枯れ葉剤散布50周年を迎えて、6月20日付のサイゴンの新聞『サイゴン解放』紙の記事をお送りします。

責任回避を貫く致死のエージェント・オレンジ製造会社
製品としてのエージェント・オレンジがベトナム戦争以降ベトナムで何百万もの生命を危機に陥れてきたアメリカの枯れ葉剤メーカーは、責任回避を避け続け、代わってアメリカ政府を非難し責任をなすり付けている。

 2008年2月に、ニューヨークで、オレンジ剤被害者に正義を求めるパレードが行われた。
 『サイゴン解放』紙が、この5月、モンサント・タイランド社(本社アメリカ)とホーチミン市にあるダウ・ケミカル・インターナショナル社に連絡した時に、同社は、トップは海外出張に出かけていると言った。そして、質問は担当者に回すので会社宛に送ってほしいと答えた。

の後、アメリカ政府部分的に責任を認めたので、企業がベトナムにおけるエージェント・オレンジ被害者の痛みを緩和する措置をとったかどうかを尋ねようと、『サイゴン解放』紙は質問を各企業に送った。

それでも、6月中旬に、ダウ・ケミカル社から1つだけ反応があった。同社の言い分は、"参戦したことは、アメリカ政府による間違った、遺憾な選択であった。そして、ダウ社は、米国の防衛生産法の下で、アメリカ政府から戦争に使用する除草剤を生産するよう命じられた数企業の内の一社にすぎない”というものであった。
オルディス会長と被害者2世たち 
モンサント社からも、似たような回答が、2009年に、英越友好協会のレン・オルディス会長に送られている。
 
ダウ社が回答する前に『サイゴン解放』紙への電子メールでは、オルディス会長は、「アメリカの化学企業は責任を決して認めず、常にアメリカ政府に責任転嫁している」と、言った。

熱心な反エージェント・オレンジ活動家のレン・オルディス氏の主張はこうだ。

「それらは化学企業が製造した致死の化学剤をめぐる対立を避ける策略である。エージェント・オレンジが製造されたときに、メーカーは、製造過程で致命的な化学剤ダイオキシンが生産されることに気づいていたが、彼らはその情報を故意に隠したる。だから、モンサントとダウ・ケミカルなどのメーカーは、エージェント・オレンジがベトナムの人々に残した被害に無責任ではありえない。

何百万ものベトナム人を多くの悲惨な状態に置いた後、メーカーが現在責任を拒否しいていることは受け入れがたい。製造企業は、真実を一般国民から隠蔽している。メーカーは、エージェント・オレンジがベトナム人に残した被害を補償するすために、メ-カーは、現在アメリカ政府と足並みを揃えなければならない」

1984年に、アメリカのベトナム戦争退役兵士は、兵士や兵士の子弟らの健康への悪影響を引き起こすとした裁判で有罪となった(北村註:下)モンサントや他のエージェント・オレンジの製造企業から1億8400万米ドルの補償金を獲得したと発表された。
 オルディス会長は、「モンサント、ダウや他のアメリカ化学メーカーは、今のところ責任回避に成功しているが、それは永遠には続かない。遅かれ早かれ、彼らは、何百万というベトナム人に為した残忍で不道徳行為に対する責任を、取らざるをえない」と、言う。(おわり)
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北村註:サイゴン解放紙では、裁判で有罪となった・・と記事には出ていますが、事実は違います。悪い例としての判例を残したくないというアメリカ政府の政治的配慮も動いたのか、アメリカの裁判所は企業と被害者の退役兵に和解をよびかけ、法定外での決着となったのです。つまり裁判では、エージェント・オレンジ製造企業に有罪の判決をしたのではなく、和解金で解決しなさいと勧告したのです。企業は、一回だけの支払いを条件に解決金を払いました。しかし、解決金を払った後も、続々と被害者が発症し、社会問題となっていることは、これまで何回か述べてきました。その点で、サイゴン解放紙記者に、事実の誤認があります。

1965年にアメリカ政府と調印した契約によれば、モンサントとダウ・ケミカルは、爆弾用のナパーム(ガソリンをゼリー状にする濃化剤のこと)とエージェント・オレンジを含めて、ベトナム戦争中使用された15種類以上の化学合成物を生産していた7社の中に含まれます。なんと、この2社は、2007年にホーチミン市で合法的に企業活動を始めました。枯れ葉剤被害者以外にも、一部の市民の中に、これら企業への不満がくすぶっています。枯れ葉剤散布50周年にあたり、すっきりしない米越関係の一つです。

ベトナム戦争中、多くの企業は、市民からボイコット運動と不同意によって契約を終えた。しかし、ダウ・ケミカルだけは、1969年まで事業を続けたのです。

北村 元 愛のベトナムさわやか支援隊
Love & Support Vietnam Since 1990
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