愛のベトナム支援隊(通称をさらに簡略化しました)今年のツアーは、ベトナム・ハノイを中心にご活躍を続けられる眼科医の服部匡志(ただし)先生との会食から始めました。この会合には、服部先生の活動を支えていらっしゃるエネルギーの塊の栗原先生も同席されました。また、服部先生と数年来の付き合いになるベトナム外務省プレス・オフィサーのレ・ドゥック・タインさんにも参加してもらいました。
私どもと服部先生とは、2009年に聖マリアンナ医科大学での講演会以来、「ハノイで会いましょう」を合言葉に、個人的に接触を続けていました。
私どもと服部先生とは、2009年に聖マリアンナ医科大学での講演会以来、「ハノイで会いましょう」を合言葉に、個人的に接触を続けていました。
写真:左手前 栗原先生と服部先生(左から2人目)
ハノイ・チュクバック湖畔 「Wa]にて
服部先生は、その前週の週末に、北部の田舎で106人の出張眼科手術をされています。私たちと会った翌日からの週末で、前週と併せて合計200人の手術をして視力を回復されました。服部先生と不肖北村には、共通点がありました。
まず大阪生まれ。一人っ子。父親を早くなくしていること。ベトナムで支援を続けていること。そのたびに握手・・・。
服部先生は、2002年からベトナム国立眼科研究所で網膜硝子体手術指導を始められ、2004年から、同研究所客員教授に就任されています。
服部先生のベトナムとの出会いは、母校・京都府立医科大学が主催する日本臨床眼科に出席した際、偶然ハノイ国立眼科病院のベトナム人女性医師に出会い、「ベトナムでは網膜硝子体の治療技術は遅れている。是非その技術をベトナムの医師に教えて欲しい。ベトナムはまだまだ発展途上で日本の様に豊かではない。多くの貧しい患者が手術を受けられず失明している。何とか助けて欲しい」との言葉に心を揺さぶられ、2002年よりベトナム国立眼科病院で最先端の内視鏡を駆使した網膜剥離や糖尿病網膜症などの治療の指導を始めたそうです。37歳の時でした。
一ヵ月の半分は依頼が有った日本全国の病院で手術を行い、残りの半分はハノイと地方で無料の医療活動を行っています。ベトナムでは一切報酬は受け取らず渡航費、滞在費、医療品代の全
てを日本で得た収入で賄っているそうです。
現在活動は、ベトナムを中心にラオス、タイ、インドネシア、キューバ、ミヤンマーに活動地を広げ、無償の治療、技術指導、講演などを行っていらっしゃいます。また、ベトナムの医師達の熱い意欲に応えるため日本の病院での研修にも取り組み始めています。
ご専門は網膜硝子体手術で、日本のトップレベルの技術を持っていらっしゃいます。
先生の信条は、「患者さんは家族」です。が、ここからが大事なところです。
「ベトナムへ行ったが必要なものは何もなかった。医師のスキルも大した事はなかった。これを何とかしたかった。帰国して医療機器関係の会社や眼科関係病院の協力・支援を仰いだがダメだった。
ベトナムへ出かけた時は既に病院を退職して自分の所属する医療関係はまったく無く肩書きも無かった。日本社会はフリーの人間に対しては物凄く冷たい。日本人とベトナム人の考えの違いでかなり苦労した。例えば手術などの準備を手術開始前にしておかなければならないのにそれが出来ない。勤務時間は4時に終わってしまう。自分達の休憩時間は守る。
現在日本政府から内視鏡手術機器一台の支援を得ている。しかしながらもう二、三台欲しいと思っている。自分が日本全国手術をして歩いている病院で使用済み(捨てる)の機器類で再使用できるものをもらってベトナムで再使用している。貧困者で手術代がない患者には自分が手術代を肩代わりしても手術を受けてもらっている。・・・・その人の人生がそれによって救える」
規模は違いますが、私たちと悩みが通底して重なる部分が多いです。
そして、こうも言っていらっしゃいます。
「感じたらアクションを起こして欲しい。技術が先か、ハートが先か? ハートが先だと思う。使命感で行うのではなく遊び心を持ちながらやらないとダメ!長続きはしない」
これが、とどめです。ボランティアの精神をずばりと言い表しています。
技術をもち、ハートをもった先生が入ってくると、いろいろな波紋が起きることを話していました。面白くないと感ずる現地の先生もいるわけです。かつて、小生が、タイから、軽量な義足を考えついた先生をカンボジアにお連れしたときに、重い義足を作っている人たちから、あからさまに邪見にされたことを思い出します。問題は、患者によりよい物は何か?・・ということです。
今年2月14日の日本の某大新聞に、服部先生のことがこう書かれていました。
「苦しむ人を放ってはおけない――誰にも、そういう「気持ち」はある。問題は「行動」に移す勇気を持てるかどうかだ。眼科医の服部匡志氏は行動した。1カ月のうち半月をベトナムで過ごし、8年間で1万人以上を失明から救ってきた。活動を続けられた理由をこう語る。「自分のためだけでは続かない。人のために生きることで自分の中から新たな力が湧いてくる」(『人間は、人を助けるようにできている』あさ出版)。困難にあうと「なぜ自分だけが」と思いがちだ。自分のことしか見えなくなり、心が小さく縮こまってしまう。その時、「自分以外の誰かのために」と行動することで、心は大きく広がり、自分自身の命も蘇生していく」
自信 誇り 思いやり パワー そんなキーワードを頭に浮かべながら、服部、栗原両先生のお話をうかがっていました。
我々のツアーのキックオフ・ミーティングにぴったりのお話で、心のあり方を自らに問い直す機会になりました。そして、ハノイでの再会を約して、お別れしました。
服部先生、栗原先生 貴重なお話をありがとうございました。
いっそうのご活躍を祈っています。
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ツアーのご報告を順を追って行いたいと思いますが、途中で、2010年度の蓮の花奨学金の奨学生からの手紙のご紹介も入りますので、ご了承下さい。
今年のツアーは、日本の状況に鑑み、一切募集をしませんでした。7人集まりましたが、一人ご家族のご病気で辞退され、6人での挙行となりました。
愛のベトナム支援隊 北村 元
Love & Support Vietnam since 1990
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