ハノイの学生喫茶。
日本での学生時代の自分と重ね合わせるためにぶらぶらと歩いてみた。
レーニン公園の向かい、線路のすぐそばにある”San Ga"。
スーツケースや鞄を販売している店の2階にある”13 Dinh Tien Hoan”。ここは、バルコニーからホアン・キエム湖を見下ろせる。
そして、豚の屠殺場からVan Donの坂道から上がった堤防べりの”Huong Dau Mua"
ここのコーヒーは、20世紀初頭の作家であるThach Lam, Nguyen Tuan,Vu Bangたちの口にはあわないだろう。
しかし、サイゴンの安喫茶で飲んでいるコーヒーや、炒ったトウモロコシや干したビンロウを入れたり、ヌックマムやバター、バニラをたらした創作コーヒーよりは美味いと言える。それにずっとのんでいると、癖になりそうな気がする。
学生喫茶というのは、どこもごちゃごちゃしており、またほんとうに騒々しい。
”Huong Dau Mua”だけは、大衆的な野外喫茶という雰囲気を醸し出しており、家庭生活と外という両方の感じを受けさせる。
ここにいる学生は、コーヒーを飲みつつ、洗濯をしている人を眺めたり、経を読んでいる85,6歳の老人が、傍らでそれに聞き入っていたり・・といった具合だ。
それぞれが好き勝手なことをしつつ、同じ空間を分かち合うということは、学生喫茶でこそ出来るのだろう。
私は、それとなく煉瓦塀を通り過ぎて店の中に入ろうとした。
色あせたピンクの壁を見た。
そこには、学生の筆跡がぎっしりと詰まっているのだ。
愛情を込めた詩、誰かに宛てた言葉、住所、名前、英語の文句・・・I Love You はもちろん、それにいくつものいたずら書き。 矢で射抜かれたハートや学生時代の夢想的な形象が描かれている。
北村 元(元テレビ朝日ハノイ支局長)
2005-12-23
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