発信の日付は、12月4日になっていますが、小生が多忙でなかなか掲載出来なかったことをお許し下さい。なお、これは公式のほんやくではありません。お断りしておきます。
ハノイ 12月4日 2006年
発信人:グエン・チョン・ニャン
副会長
ベトナム・エージェント・オレンジ/ダイオキシン被害者協会
ハノイ ベトナム社会主義共和国
ビル・クリントン閣下
アメリカ合衆国元大統領
ヒラリー・クリントン閣下
アメリカ合衆国上院議員
ベトナム国民と小生個人は、貴殿お二人がベトナムを再訪されることを喜ぶものであります。このことは、お二人のベトナムに対する特別の感情を表すものと信じて疑いません。
2000年11月のご訪問の際に、小生はハノイのデウー・ホテルで大統領閣下に拝謁できたことは、大きな喜びとするところです。当時、ご多忙な日程にもかかわらず、小生が貴大統領の御返事を拝受したことは、大きな栄誉でありました。
閣下のメッセージは、ベトナムのことを学びにきたアメリカの科学者、ジャーナリスト、学生そして若い人たちのグループを含めて多くの人々に紹介させて頂きました。閣下のメッセージを読んだ者は、戦争の犠牲者、特に、有毒ダイオキシンを含んだ化学物質の犠牲者に対して表された閣下の同情心を示す理解に大いに注目を致しました。
小生は、今でも、次の文章に感銘を深くしています。つまり、「彼らが直面している医学的、心理的困難に関する貴殿のご心配を分かち合うものです。そして、私は米越両国が科学的研究と、共同で人道的努力をする必要性があるという点で同意するものです・・・」
従って、小生は、致命的な疾病、深刻な貧困、短命に対して、エージェント・オレンジ/ダイオキシン被害者に対して援助を与える点と、故に有毒ダイオキシンを含んだ化学物質が引き起こした多くの世代に引き継いでいくであろう人体と生活環境に対する重い後遺症にうち勝つためのより効果的な対策に関するさらなる知識に到達するために、両国が相互に協力することで同意していらっしゃるものと考えます。小生は、閣下の同情的なご理解に真に感動した者です。
2005年の11月と12月、エージェント・オレンジの被害者二人が、ベトナム人民に戦争中に使用された有毒ダイオキシンを含有した化学物質の結果について、貴国の人々と会い、話し合いをしました。小生もそこに行きました。そのうちの一人は、女性で、コンダオの虎の檻に長年収容されていた経験を持つ方です。
1ヶ月の訪米期間中、私たちは、多くの都市を訪問しました。ワシントンDC,ニューヨーク、ボストン、フィラデルフィア、ラレー/ダーラム、シカゴ、サンタ・フェ、シアトル、オレゴン州ポートランド、サンフランシスコです。
有名大学であれ、宗教クラブであれ、教会であれ、インド系、アフリカ系アメリカ人の社会であれ、どこに立ち寄っても、われわれは、貴国の方々のエージェント・オレンジの犠牲者に同情的な同苦する人々に巡り会えました。また、良心、正当性、正義の要求に従って犠牲者は援助されなければならないと主張する善意の人々に会うことが出来ました。この機会に、私どもがお会いしたアメリカ人の元ベトナム従軍兵は、慚愧の念を示し、われわれが実りある旅ができるようにとあらゆるお手伝いをしてくれました。
閣下が人道分野でご活動を始められたと知って、小生は、ビル・クリントン財団と連絡を取ろうと務めてきました。時々、閣下がされたサインのついた情報やお手紙を頂戴しました。小生の願いは、エイズ/HIVの問題に注意を払いながら、1996年5月28日にホワイト・ハウスで閣下が述べられた声明の精神に従って、アメリカ合衆国のベトナム戦争復員兵と同じように、ベトナムにおけるエージェント・オレンジに被害者にもそれ相当のご配慮をお願いできませんでしょうか。閣下は、この問題に関するツムウォルト提督による情報提供と、ツムウォルト提督の家族が、アメリカ、オーストラリア、ニュージーランド、韓国の復員兵と同じように偶然であってもエージェント・オレンジで酷い障害を受けたことを閣下が認識されて、ツムウォルト提督に最大の敬意を表されました。
なぜなら、閣下は、他国と同様、ベトナムにおけるエイズ/HIVの被害者への支援に力を入れていらっしゃるからです。そしたまた、HIVもダイオキシンもまた、人体の免疫組織を破壊し、すべての種類の病気に抵抗力をなくすからです。ですから、多くの科学者がエージェント・オレンジの被害者をダイオキシンによって引き起こされたエイズ患者と考えようとしてきたという事実を述べさせて頂くことをお許し下さい。(色は訳者である小生がつけたものです)
かつては医者として、その後ほぼ16年間ベトナム赤十字社の会長として、そして今はエージェント・オレンジの被害者の援助で奉仕活動をしながら、小生は、いま、閣下と夫人ヒラリーさんに衷心よりご挨拶をお送りし、両国に関係し、世界中の人々が心配している大きな人道問題に付属するお手紙を差し上げる大きな光栄に本当に浴しています。
私は、“過去の歴史の悲劇的な頁を閉じ、より明るい将来を望見しながら安堵を感じられるように”、お二人が可能なあらゆる事をして頂けるように心より切望するものです。(色は小生が付けたものです)
3月(北村註:2006年)にハノイで開催されたエージェント・オレンジ/ダイオキシン被害者国際会議の議事録を、ここに同封させて頂きます。
閣下、同ご夫人のご多幸をお祈りし、かつご訪問中の諸活動がすべて成功裏におわりますようにお祈り申し上げる次第です。
ベトナム・エージェント・オレンジ/ダイオキシン被害者協会を代表して
敬具
グエン・チョン・ニャン(教授・博士)
文責:北村 元
副会長