2011-07-24

トン・ヴァン・ディエン君宅を訪問

ニンビン省の枯れ葉剤被害者協会との話し合いで、ディエン君の家の生活はかなり厳しいと聞いて、急遽訪問しました。
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前は、別の所に住んでいたそうですが、支援する企業のお金で家が建ちました。「以前の家は、住むのに大変だった」と協会の方が言っていましたので、新しい家になって、生活環境も少しは快適になったようです。

ディエン君(写真下。メガネの青年)は、いま(6月)受験勉強中。物を見るときに、少し顔を上に向けるようにしてみる癖があるのですが、それはなぜなのだろうかと思いました。
ディエン君は、今メガネをかけていますが、外すと霞んでよくみえなくなり、字は読めないそうです。メガネ無しでは「黒板の字も見えない」と言います。メガネ無しで教科書や本を読もうとすると、目が痛くなるそうです。夜になると、更に視力が落ちると言います。
良く見えない理由は近視だと、本人は言われているそうです。ベトナム流にいうと2.0だそうですが、残念ながら、国際的な基準に換算するとどういう差があるのか、私には分かりません。まだ手術はしていませんし、手術で解決できるかもわかりません。お父さんも目が霞んでいて、あまり良く見えないそうです。
「中学校の時は、余り勉強しなくてもよかったですが、高校に入ると勉強の量が違いますので、視力の衰えは厳しいです」と、ディエン君は言います。勉強力が一番伸びるこの時期に、視力の衰えに勉強を遮られるのは痛いです。

「ハノイで度数をはかってもらって、ニンビンに帰ってニンビンで買います」と言いますが、物価の高いハノイではなくて、少しでも安い地元のニンビンでメガネ作りをするのでしょう。

いま、自分でできる家の手伝いは、食事を作ること。後は掃除したりする。「勉強に集中したい」と言うのですが・・・。「度が変わってきたので、そろそろメガネも買わなくてはなりません」
目の手術をうける予定はあるのですか?ト聞くと、「希望していますが、いつになるかわかりません」という答えでした。
日本の先生の検診を受ける気持ちはありますか?と聞いてみました。
「そうなれば、ありがたいです。なおるものなら、とてもうれしいです」と、言いました。私たちは、ハノイを中心にボランティアの治療を続けていらっしゃる服部先生には、すでにお話をしてあるのですが、ディエン君には「まず正確な診断を受けましょうね」と、伝えました。
「旅行・観光業の関係学部のある短期大学を目指したい」と希望するディエン君にとって、きちんと見えるようになることは大事なことです。
マンさん ディエン君 お父さん
日本の先生の検診を受ける気持ちはありますか?と聞いてみました。
「そうなれば、ありがたいです。なおるものなら、とてもうれしいです」と、言いました。私たちは、ハノイを中心にボランティアの治療を続けていらっしゃる服部先生には、すでにお話をしてあるのですが、ディエン君には「まず正確な診断を受けましょうね」と、伝えました。

「旅行・観光業の関係学部のある短期大学を目指したい」と希望するディエン君にとって、きちんと見えるようになることは大事なことです。
昨年8月のディエン君(左端)
ディエン君のお父さんは、枯れ葉剤の被害者。お父さんは、1966年に入隊し、南部のタイニン省で従軍。カンボジアを行ったり来たりした。飛行機から枯れ葉剤を散布している様子は、当然「何度も見ている」と話していました。

大きなタンクを投下しているのをみたそうです。そこから、液体がでてきた。「オレンジ色の・・・」と言いましたが、これは勘違いでしょう。枯れ葉剤は、基本的に無色ですから。

お父さんは、米や物資を運ぶ輸送部隊でした。驚いたことに、抗仏戦争の時と同じように、「物資を自転車で運んでいた」と言いました。チュオンソン山脈の方も行ったそうですが、「輸送は歩くか自転車だった」と話していました。

お父さんの健康はどうですか?

「体が弱くなっています。体全体に骨が痛いです。この家を建ててもらってからは、いくらか体がよくなりました。古い家の時は、寝たきりの時もありました。家を建ててもらって嬉しいので、少し元気になりました。政府からの手当は、二級の手当で月120万ドンです。ディエンの兄も二級の手当で71万7千ドンを受けています。ディエンは、まだ認定されていません」
強い日差しの中で米を乾かすお嬢さん
奥さん(59歳)も小柄で痩せているそうです。それでも、この家では、男の子がいながら、女性が重労働をしなくてはなりません。

ここには5人が住んでいます。両親 兄(重い精神障害=服を着せてもすぐ破ってしまうので、いつも裸のままで、別の部屋にいる) 姉(とん・ティ・マンさん=23歳 五女) ディエン君は末っ子です。


兄弟姉妹は7人。長女 次女 長男 三女 四女 五女 次男。この家庭では、特に息子に障害がでているようです。

収穫の季節は、朝は四時から、午後は二時から畑にでるそうです。このご家庭では、五女のマンさんが結婚して家をでたら、大きな働き手を失い、大きな問題を抱えることになります。

自宅の畑の広さは、2880平米。米は、1年1回の収穫しかできないそうです。今の収穫が終わると、雨季になって、水浸しになって畑が使えなくなる、と言います。

米は1トン(精米の前の状態か?)取れるそうですが、一家が一年食べていくには全然足りないのです。

足りない分は、「買うしか無い」と、お父さんは言いました。「しかも、最近は、米の値上がりがすごいので、結構高いです」と。

この家で、田植えや米の収穫など農作業ができるのは、お母さんと長女マンさんしかいません。お父さんもディエン君も農作業はできません。

長女マンさんは、毎日12キロを自転車通勤して、縫製工場で働いています。「仕事は安定していない」と言いますから、季節労働者に近いかも知れません。

裸のママのお兄さん
枯れ葉剤被害者家族の一例です。
まずは、ディエン君の眼の状態を正確に把握することから初めてみようと思います。

北村 元 愛のベトナム支援隊
Love & Support Vietnam
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