2010-11-01

支援の旅(86)枯れ葉剤被害者協会・下

ここで、ニャン副会長は、質問を受けてくれました。
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「質問があれば・・・お受けしますよ」

(北村)10年間の行動計画に費やす金額が3億ドルです。その金額で一体何ができるのか・・と思いますが。

「(世界の)人びとが声を上げ、団結していくならば、指導者も従うことになる」と思います。早くそういう時代にしなくてはいけません。アメリカが動かないのもその現実があるからです。

アスペン研究所のアイザックソン所長は、私個人の考えですが、かなり大きな気持をもって対応してくれたと思います。彼は、タイムズ誌の編集長でした。彼は、座った所を発つ時にはきれいにする・・・というアメリカの諺を使いました。そういう習慣があります。なぜそういうことを言い出すかというと、ベトナムで自分のいたところを汚してしまった・・・そこを綺麗にしなくてはいけない・・という意味でその諺を使って文章を書いたと思います。
3億ドルの金額については、比較したらすぐ分かると思います。アメリカ参戦兵士が復員すると枯れ葉剤被害者になります。アメリカ政府が彼ら退役兵の枯れ葉剤被害者に出す助成金は15億ドルです。それは、アメリカ国内だけの金額です。一見3億ドルは大きいように見えますが、実際は大した金額ではありません。
私もアメリカの新聞記者や研究者に接した時に、説明しました。3億ドルを300万人で割ると一人10ドルにしかならない・・・と。その時に初めて記者や研究者も額が大したことないと分かってくれました。個人として思えば大きいようにみえますが、大した金額じゃありません。全く意味のない金額です。
あるアメリカ人が、ベトナム戦争で勝ったのに、なんで賠償金をもとめるのかと言いました。問題は勝ったか負けたかというよりも、アメリカ人がベトナムに来て、戦争を起こしていろいろな影響を与えたので、それを解決しないといけません。
我々はすぐ訴えたかったのですが、枯れ葉剤が撒かれた61年から撒布を中止した71年まで・・・それから何十年も待ちました。アメリカ人はきちんと考えてくれたのか・・・そういうことをアメリカ人はきちんと考えてくれず、責任放棄をしようとしているので、2004年に訴訟を起こすことを決めたんです。
ベトナム人は、忍耐強い国民です。ずっと待っていました。
その忍耐力で、ベトナム戦争に勝ちました。
長い戦争の間には、いろいろな戦いがあります。フランスには、一つの戦いに勝利をえていなくても、全体では勝利をしているという
意味の諺があります。」
(北村)ベトナムが最終的に正義の勝利を掴むことを願っています。正義は勝って初めて正義になると思いますので、ぜひ勝って頂きたいと思います。

「少し見方が違います。勝てない時でも、正義は正義です。」
[北村註※ もう少し一度反論しておけばよかったと反省しています。同席した人の中にも副会長にうなづいた人がいました。勝てない時でも、正義は正義・・・これは間違ってはいません。しかし、現実問題として、悪に破れるような正義だからこそ、不幸が続いているのではないでしょうか。そこがポイントです。勝てればいいけど、勝てなくても正義・・・それでは勝てませんし、正義は通らないと思います。だからこそ、 正義を正義たらしめる支援と連帯が必要だと痛感します]
(富田さん)アメリカの裁判で支援をしてくれる団体は,どういう団体ですか?

いくつかの団体があります。退役軍人の会が動いてくれています。多くの軍人がベトナム戦争に参加しましたが、退役ベトナム兵が大体応援してくれています。 

ベトナム参戦兵が帰還して言う最初の言葉は、『申し訳ない、ベトナムに行ってしまった』ということです。なぜベトナムに行ったかというと、政府は、ベトナム人は植民地で生活に苦労しているので、解放させてあげるために送るのだと兵士に言っていたようです。
ベトナム戦争に参加したマッケイン上院議員やジョン・ケリー氏等が我々の活動を応援していくれていて、これから枯れ葉剤被害補償の法律作りにとりかかりそうです。
アメリカ上院議会では、捨てられた責任という命題で何回も討論されています」
(富田さん)カムーン(ありがとうございました)。(笑い)
(つづく)Posted by Picasa

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