2010-07-24

米越対話グループ(4)

米越対話グループの4回目は、IPS(インター・プレス・サービス)の記事をご紹介します。頭の中に断片的に入っている出来事をまとめるには、良い記事です。
++++++++++++++++
汚染地浄化活動に3億ドル

【ワシントン6月16日IPS】ベトナム戦争が終結して35年。米越合同対話グループは、戦争中にアメリカ軍が広範に使用した“エージェント・オレンジ”の致死的な健康・環境遺産に対応する「10年間、3億ドルの行動計画」を承認した。

対話グループによると、アメリカ政府は、汚染が特に深刻な旧南ヴェトナムの12箇所以上の汚染地の浄化と、エージェント・オレンジや他のダイオキシン入りの枯れ葉剤の被害を受けている人々に、医療や健康関連の支援を拡大することを目的とした援助の大半を提供すべきだとしている。

両国対話グループの共同議長であり、行動計画を発表したアスペン研究所ウォルター・アイザックソンCEOは、「我々は、ベトナム戦争の最大の遺産と両国関係の大きな障害になっている問題について話し合っている」と、語った。

「ベトナム戦争から続いている我々の汚染を浄化することは、BPが(メキシコ湾で)除去しなければならない石油流出よりはるかにコストがかからない」と、彼は語った。

エージェント・オレンジ被害に関するこの対話グループは、アスペン研究所が主催し、フォード財団が資金援助したもので、3年の協議の結果まとまった行動計画は、15年前に国交正常化した米越間の和解では重要な時期にまとまった。

枯れ葉剤のドラム缶
二国間相互貿易は国交正常化の前ですら着実に成長してきており、昨年の貿易額は150億ドル以上に達した。

両旧敵国は、軍事関係でも着実に改善されている。戦争以来初めて、アメリカ海軍補給船が、当時の南ベトナムで最も重要な深海港であったカムライン湾で広範囲な修理を実施した。そしてそれは、一度はそれから南ベトナムであったことのワシントンの最もて用いられました、そして、国防総省当局者は同港への定期的な入港への包括協定の締結を公に希望してきた。

しかし、アイザックソンCEOが注目しているように、エージェント・オレンジの遺産は両国関係の中で長い間ネックだった。 - そして、アメリカ政府は、枯れ葉剤問題解決にあたり、大幅な援助をベトナム政府に提供してこなかった。- 特にアメリカ政府が責任を認めることに消極的であった。

昨年、米最高裁判所は、ダウ・ケミカルとモンサントという枯れ葉剤の主たる製造企業には、エージェント・オレンジへの曝露に起因するとされる先天性欠損症に対する責任はみなされない、という下級裁判所の判断をもとに、ベトナム人被害者原告による訴えを棄却して、5年に及ぶ法廷闘争に終止符を打ってしまった。

「責任、認識とデータ信頼性の問題が、あまりにも長い間激しい論争を引き起こして、研究と救済的な行動を遅れさせてきた。躊躇する時間は過ぎ去った」と、両国の民間人、科学者と政策立案者らが入った対話グループは報告書の中で述べている。
推定500万のベトナム人が曝露した
1962年から、アメリカ政府が枯れ葉剤の使用を中止した1971年の間に、アメリカ軍は、ベトコンゲリラと北ベトナム軍隊に濃いジャングルと食物を利用させないようにと、南ベトナムの全域、カンボジア、ラオスの国境付近に、ほぼ7600万リットルの枯れ葉剤を撒布した。

行動計画で公表された報告によると、これらの枯れ葉剤は、ざっとエルサルバドル共和国の面積に相当する合計およそ200万ヘクタールの森林と、この他に20万ヘクタールの農地を破壊した。さらに、エージェント・オレンジと関連のダイオキシンは、製造企業が規定した濃度の最高50倍の濃さで撒布された。

戦争中に配備された約280万人のアメリカ軍事要員だけでなく、それらの地域に住んでいたほぼ500万のベトナム人が、枯れ葉剤に曝露したと見られる。米医学研究所は、各種のなガン、糖尿病、神経疾患と心臓疾患と先天性欠損症と枯れ葉剤の関連があるとしている。

その上、残留性有機汚染物質(POP)として、ダイオキシンは、環境での分解時間が非常に遅いため、その毒性効果は世代を通り越して続くことになる。
 赤十字によると、脊椎披裂など重大な先天性欠損症をもって産まれた約15万人の子供たちをいれて、推定で300万のベトナム人が、露出からエージェント・オレンジ剤、及び関連した枯れ葉剤への曝露による健康被害をうけている。
1966年のカンボジア国境のゲリラ
アメリカの研究者が約25年、ヴェトナムで枯れ葉剤の影響を調査してきたが、両国は2002年になって初めてこの問題だけで公式科学会議を召集した。

2007年以来、アメリカ議会は、「ベトナムにおけるダイオキシン汚染地の環境改善と関連の医療支援活動」として900万ドルの支出を承認し、そのうちの400万ドル余りが使われた。

 議会は、現在、2011会計年度で、さらに1200万ドルの援助を検討している。

 これとは対照的に、米復員軍人庁(VA)は、昨年だけでも、現在の疾病がダイオキシンへの暴露と関係あると思われるベトナム退役軍人に、ほぼ20億ドルを支払っている。

 エージェント・オレンジ問題対策のアメリカの大部分援助は、民間の資金である。二国間の対話グループの主な出資者はフォード財団で、枯れ葉剤問題についてアメリカ国民への教育活動だけでなく、環境修復費やベトナム人被害者の治療の補助金でほぼ1200万ドルを提供している。
「私は足で書いていくんです」
行動計画は、土壌と湖が最も汚染されている南部ヴェトナムの重度汚染地の浄化に1億ドル、枯れ葉剤曝露に起因する身体障害者のため医療及び関連の支援を拡大するために2億ドルを支出することを呼びかけている。

最も深刻な汚染地は、ダイオキシンが積みおろされたり、取り扱いが行われたり、貯蔵された空港と旧アメリカ軍基地である。

2007年にカナダの会社によって、ベトナム戦争中最大のアメリカ軍基地として使用されたダナン空港の内外で行われた土壌検査では、ダイオキシン濃度は国際基準の300~400倍高かった。

報告書によると、現在観光客が利用している同空港周辺に以前住んでいた住民の母乳と血液からは、ヴェトナムではこれまで最高の、国際基準の100倍以上のダイオキシン濃度が記録された。

報告書の勧告について質問された国務省のP.J.クローリー報道官は、グループの仕事を称賛し、「我々はその報告書の戦略計画に大きな関心を持っている。詳細について検討してみたい」と語った。(つづく)Posted by Picasa

0 件のコメント: