2010-01-08

ある少女からの手紙 眼科医・名古良輔

私たちのベトナム支援隊ツアーに一昨年と昨年、2年間連続で参加してくださった沼津在住の眼科医師、名古先生が、地元紙の沼津朝日新聞に寄稿されましたので、今回は、名古先生のご許可を頂いて、その投稿記事をご紹介させていただきます。「ある少女からの手紙」の内容は、本ブログでも昨年の12月25日のクリスマスの日に「蓮の花奨学生からの便り(2)」として掲載してあります。そちらもご覧ください。
ヾ(●⌒∇⌒●)ノ わーい  ワーイ♪♪\(^ω^\)( /^ω^)/♪♪ワーイ 

「ある少女からの手紙」
 名古良輔
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 二年前からベトナムでの枯葉剤被害者支援活動に参加しています。昨年は計十五名の子ども達に学業の支援にと奨学金を贈呈しました。会の中心メンバーであるジャーナリストの北村元さんのアイディアで、切手を貼った封書を同時に手渡し、春と秋に奨学生のみなさんに近況を報告してください、とお願いをしました。
私が贈呈役を仰せつかったクアンガイ省の高校三年生レ・ティ・キム・チュンさんからも手紙が届いたのです。その手紙からは、日本では想像もできない険しい状況の中で必死に学ぼうとする彼女の強い決意が感じられます。贈呈式で彼女が見せた強い意志を秘めた、あの凛々しい瞳を私は忘れられません。
 ひるがえって日本の状況を調べると内容や程度に違いはあるものの、同年代の若者たちも厳しい状況にさらされていることに気づきます。

事実一。厚生労働省の発表では二〇〇九年度九月末現在の高校生の就職内定率は三七.六%で前年同期を一三.四ポイント下回り過去最大の下落率。

事実二。年収二〇〇万円未満の家庭での高校生の四年制大学進学率は三割に満たない一方、千二百万円以上の家庭では倍以上の六割強に達していること。さらに母子家庭の調査などから世代を超えて貧困が連鎖している実態が明らかとなった。

レ・ティ・キム・チュンさん

 グローバル化のもとでは二極化は避けられません。しかしながら、どんな状況下でも自分の未来を切り拓くのは、自分自身の努力しか無いのです。以下に引用するチュンさんからの手紙の一部を読むことで、日本の若者たちが力強く生き抜くための勇気を少しでも取り戻してくれればと心の底から私は願うのです。

 『皆様お元気ですか? 皆様にお会い出来ることを願っています。支援隊から奨学金を頂いて、沢山の励ましを頂戴しました。そして頑張る力も与えて頂きました。学校の友達には、日本人の優しさ、親切さ、人を愛する心について話をしました。そして友だちには、あの時下さった富士山の写真を自慢して見せました。友だちは皆、日本の素晴らしさと日本人の事を感心してくれました。

私の故郷はとっても貧しいです。両親は二人とも軍人でした。兄弟は五人です。女三人男二人です。しかしお兄さん二人は枯れ葉剤の影響を受けて普通の生活はできません。全ての事は誰かにやってもらわなければなりません。私が中学二年のとき兄が一人亡くなりました。家族は少しの水田を耕作しています。両親は戦争の時負傷しています。しかし両親は私を養うのに一生懸命です。生まれつき障害を受けている子ども達を悲しく思っているようですが、それにもかかわらず負ける事無く私達を養って、教育も受けさせてくれています。

 両親を悲しませないようにしようと考えています。そして自分自身いつも願っていることは、早く大人になって家族を助けられるようにしたい。そして、いつか日本に行ってみたい、ということです。日本人はとっても親切な人たちだと思います。

 最後に皆様のご健康と仕事が順調でありますように、そして今後意義のある活動を続けてくださる事を心から願っています。』

ゎぁぃ♪ ヾ(*⌒∇⌒)八(⌒∇⌒*)ツ ゎぁぃ♪
以上が、名古先生の寄稿の全内容です。奨学金を贈呈した 近況を知らせる手紙がきた 私は、こういうやり取りを続けながら、相手の方の気持ちを想い、家庭を想像し、私達とのつながりが太くなっていくのだと思います。
                         
一方通行でなくてよかった・・と、この便りでさらに力が湧いてきました。キム・チュンさんも、もっともっと話したいことがあるのではないかと、思います。キム・チュンさんに少しでも笑顔を、キム・チュンさんのご家族に少しでも笑顔を・・そこにボランティア活動の大いなる楽しみがあると、考えます。
                         
ニンビン省での奨学金贈呈の時、名古先生は、相手の男子生徒より深いお辞儀をして渡されたのをみて、これは大事なことと深く感じました。必ず、相手に気持ちは通じる・・・その気持ちとは・・・「彼」や彼女」のまなざしを未来に向けてあげようとするやさしくも、雄大な気持ちではないでしょうか。 私たちの側のその心を大事にしていきたいと、私は思いました。(北村 記)Posted by Picasa

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